米誌「ファクト&トレンド」5-6月合併号に掲載されたエリソン・リサーチ社の最新の調査結果によれば、米国のプロテスタント教会の牧師のうち、自身の祈祷生活に「非常に満足している」と答えた人は16%にとどまっていることが分かった。47%が「概ね満足している」と答えたが、30%は「あまり満足していない」、7%は「まったく満足していない」と答えた。
アリゾナ州に本拠を置く同社は先月、全米のプロテスタント教会の牧師から無作為に選んだ868人を対象に調査を実施、牧師が祈りに費やす時間や祈祷課題について調査した。
プライベートな時間での祈祷生活に対する牧師の満足度は、年齢によって異なることが分かった。45歳未満の牧師では、9%が「非常に満足している」と答えた。一方、45歳から59歳までの牧師で「非常に満足している」と答えたのは13%だった。60歳以上の牧師の30%が「非常に満足している」と答えた。
教派別では、合同メソジスト教会(UMC)の牧師は他の教派の牧師よりも高い満足度を示した。一方、満足度が平均で最も低い長老教会(PCUSA、PCA含む)の牧師の中で、「非常に満足している」と答えたのは5%だけだった。
牧師の1日の平均祈祷時間は39分だった。一方、「15分以下」と答えた牧師は全体の21%を占めた。若手の牧師のほうがベテランの牧師よりも祈祷時間が若干短いことが分かった。45歳未満の牧師の平均祈祷時間は35分、45〜59歳の牧師で41分、60歳以上の牧師で38分という結果だった。
祈祷生活の満足度で高水準を示した合同メソジスト教会の牧師の平均祈祷時間は45分だった。長老教会の牧師の平均祈祷時間は28分で、ルーテル系教会の27分に次ぐ低水準だった。平均祈祷時間が最も長いのはペンテコステ系教会の牧師で47分だった。
祈りの内容を問う設問では、祈祷時間の32%を「要求」、20%を「御言葉の黙想と啓示」、18%を「感謝」、17%を「賛美」、14%を「罪の告白」に費やすという結果が出た。教派や世代に大きな差異はなかった。
祈祷課題、教派で違い
牧師の最も一般的な祈祷課題は、信徒たちの必要の満たしだった。牧師の98%は、信徒のために週7日祈ると答えた。
教派によって祈祷課題に傾向がみられた。福音派教会の牧師は、主流派教会の牧師よりも祈祷時間が若干短い一方、祈祷課題に多様性があった。
福音派教会の牧師が主流派教会の牧師よりも多く祈る課題は以下。
・ 信徒の信仰成長 (福音派教会牧師96%、主流派教会牧師90%)
・ 教会の量的成長 (同58%、同43%)
・ 教会財政の安定 (同57%、同46%)
・ 礼拝説教 (同86%、同78%)
・ 自己の経済状況 (同52%、同40%)
・ 国外宣教 (57%、同49%)
・ 地元宣教 (同75%、同58%)
・ 国家の指導層 (同71%、同63%)
・ 自己の信仰成長(同86%、同78%)
一方、主流派教会の牧師が福音派教会の牧師よりも多く祈る課題は、「戦争や災害などの社会問題」(主流派教会87%、福音派教会72%)、「所属教派のために」(同57%、同34%)の2つだった。
南部バプテスト連盟では、他の教会と比べて、教派のために祈る牧師の割合が低かった。それ以外の祈祷課題はほぼ平均的な結果となった。
また、同連盟の牧師とそれ以外のバプテスト教会の牧師を比較した場合、後者のほうが前者よりも、教会の量的成長、国外宣教、地元宣教、福音の伝播のために祈る傾向が強かった。
ルーテル系教会の牧師は自分の教派と社会問題について、他教派の牧師よりも多く祈ることが分かった。だが、自己の信仰成長、家庭の経済的な必要、教会の量的成長、教会財政のために祈る割合は、それぞれ平均より大幅に低かった。ペンテコステ派教会の牧師は、同じ地域で牧会する他教派の牧師と教会、自己の信仰成長のために平均より多く祈る。また家庭の経済的な必要、教会財政、教会の量的成長のために祈る割合が特に高かった。
祈祷生活に満足する牧師の特徴
自身の祈祷生活に「非常に満足している」と答えた牧師の平均祈祷時間は56分、「概ね満足している」と答えた牧師の平均は43分、「あまり満足していない」と答えた牧師の平均は29分、「まったく満足してない」と答えた牧師の平均は21分だった。
自身の祈祷生活に「非常に満足している」と答えた牧師の祈祷内容は、「要求」が少なく、「御言葉の黙想や啓示」が最も多かった。
祈祷生活に満足している牧師は、国外宣教、外国で迫害を受けるキリスト教徒、福音伝播、国家、キリスト教指導者、教派など、自身の生活や個教会の域を超えた「大きな課題」のために多く祈る傾向があることが分かった。反対に、これらの牧師は、自身の経済状況や個人的な問題、自教会のために祈る時間が少ない傾向があった。