日本キリスト教協議会(NCC)女性委員会が、2007年3月2日の世界祈祷日に祈る祈祷課題を発表した。祈りの主題は「神の天幕の下にむすばれて」。この主題をもって、加盟教会らが世界170カ所で祈りをささげる。
世界祈祷日を主催する「世界祈祷日国際委員会」は4年に一度、各国の委員を集めて4年分の祈祷課題を決定する。07年の式文とメッセージはパラグアイが用意した。祈祷日の告知ポスターにもパラグアイの伝統的な編物、ニャンドゥティを掲載した。
NCC女性委では、キリスト者女性のネットワーク(情報No.74)を通して、礼拝式文などの注文を受け付けている。同委員会では、パラグアイに関するスライド、写真のデータ入りCD-ROMは無料での貸し出しも行なっている。
NCC女性委は今年4月に『世界祈祷日の歩み―世界をつなぐエキュメニカルな女性たちの祈り』という冊子を発行し、世界祈祷日の歴史をまとめた。同冊子では、黎明期から第二次世界大戦まで、戦後から国際委員会が発足する1968年まで、翌年から今日まで――の3期に分けて世界祈祷日の歴史が紹介されている。過去に祈祷日のテーマを作成した国の一覧、式文作成者の座談会、コラム等も掲載。女性委は、祈祷日の歴史や世界をつなぐエキュメニカルな女性たちの歴史を振り返り、祈祷日当日が豊かな交わりの機会になれば、としている。
以下は、06年の世界祈祷日に発表された南アフリカ共和国からのメッセージ。06年の世界祈祷日のテーマは、「時のしるし」だった。
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「時のしるし」。2006年の世界祈祷日に与えられたこのテ-マは、私たちキリスト者が、信仰における預言者の役割を担って今日の世界を変革し、人々を和解へと導くよう神が求めておられることを自覚するようにと促しています。
南アフリカからのメッセ-ジを通して私たちは、希望と喜びの源であり、「時のしるし」である復活の主にあって勇気を持つように招かれます。
南アフリカ共和国といえばアパルトヘイト、ネルソン・マンデラ前大統領が思い出されるように、その歴史はあまりにも過酷で悲惨なものでした。人々は長年の間、恐怖や憎しみ、厳しい法律によって分断されていました。未来への希望はなく、精神的に弱り果て感情的にも荒んでいたのです。しかし神からの思いもかけない働きかけはそんなときにもあったのです。黒人に対する暴力に衝撃を受け、その状況を変えようと白人の女性団体が人種の違いを超え、厳しいアパルトヘイト法にもかかわらず黒人コミュニティで共に働き、互いを良く知り、痛みや怒りを分かち合うようになったのです。神から与えられた奇跡そのものと言うほかないでしょう。
ここでネルソン・マンデラ前大統領が南アフリカの人々全てに呼びかけた議会での辞任演説を思い起こしてみましょう。
「これまでの歴史を決して忘れることなく、過去を葬ることなく、人々が今なお直面している困難を克服するため歴史の道案内となって欲しい。そのために人々の善意を信じ続けていって欲しい。」と願ったのです。自分達を苦しめた人々を、精神の気高さと寛容さを持って赦す用意のあることに、私たちは驚き圧倒されるのです。
2006年の式文と資料を作るため担当するグル-プが南アフリカ全土から集まるには多くの費用が必要でした。世界祈祷日国際委員会の要請に応えてドイツの世界祈祷日委員会が協力してくださいました。その式文と資料はICU教会とYWCAが翻訳の労をとり、NCC女性委員会によって編集されました。多くの女性たちの手によるこの式文が色々な形で生かされるよう祈ります。
長い間の圧制とアパルトヘイトが終わり、変革の途上にあるこの虹の国で 困難を伴いつつもそれを乗り越えようとする強い決意を持って、たゆみなく努力を続ける南アフリカ共和国の特に女性たちの思いに心を合わせ祈りを一つにするとき私たちもまた、神への限りない感謝と希望に満たされることでしょう。