本郷台キリスト教会(横浜市栄区)の掲げる宣教戦略「ミッション3000」が11日、「宣教フォーラム2006」(JEA宣教委員会主催)で発表された。主任牧師・池田博師の講演の後、教育牧師・月井博師と、ユース牧師・池田恵賜師の2人が、「ミッション3000」から生まれた、教会から地域への働きを報告した。
「ミッション3000」とは、?初代教会は、教会のあるべき姿のモデルである(使徒2:41,42)、?弱り果てている人々への、イエス様の憐れみがその根底に流れている(マタイ9:35,36)ことを基本理念に、?、地域社会に霊的インパクトを与えていく、?、地域社会のすべての人に福音を伝え、救いに導く、?、地域社会の人々がかかえる問題、悩みに、主による解決を祈り求め、仕える、これら3つを教会の使命とする働き。
月井師は、相容れない間柄であったユダヤ人と異邦人もが一つとなっていた初代教会には、何よりも「愛」があふれていたように(エペソ3:6)、どんな壁をも乗り越え、誰もが一つとなれるのが「愛」であると説き、まず、教会のメンバーが十分に愛し合う必要があることを強調した(?テサロニケ4:9)。
本郷台キリスト教会では、教会員同士が日曜日だけでなく、日ごろから互いに愛を実践するために、小グループをつくって信徒間のつながりを強めている。そこで愛があふれれば、今度は教会のメンバーが、教会の外に向かってその愛を伝えようとする。
同教会では、このように信仰が熱心で愛があふれる信徒たちを、いかに地域の人々、未信者とかかわる「宣教の現場」へと導くことができるかに焦点を合わせている。
そこで、人と地域の必要を考え、地域の人々が様々な活動を通して教会と関係を持つことができる、いくつかのミニストリーを教会が生み出していった。
その中で今もっとも発展し、社会からも注目を集めている働きが、4歳から中学生のサッカー少年少女たちを集めた「サーカースクール・エスペランサ」である。現在、会員数200名超のうち、ほとんどが地域にいるノンクリスチャン家庭の子どもたち。元アルゼンチン代表で、00年にはアルゼンチンで地域選抜のベスト監督に選ばれたホルヘ・アルベルト・オルデガ氏がヘッドコーチを務める。
オルデガ氏は熱心なクリスチャンで、日本に重荷を持って来日した。02年6月、ある宣教師を通して偶然にも本郷台キリスト教会へと導かれ、しばらくの間は普通の教会生活を送っていた。しかし、ある日のこと、精神的な病を患った教会の子どもをオルデガ氏がケアし、立ち直らせるという出来事があった。それも2件。この出来事を通して同教会の主任牧師である池田博師は、オルデガ氏が、単にサッカーの技術をうまく教えられるだけでなく、人の心に触れ、愛を分け与えることができる主の働き手であることを知った。池田師は、サッカーミニストリーを立ち上げたいという同氏の熱い願いを受け入れ、その後、教会から有志を集めて同ミニストリーを翌年に立ち上げた。
本郷台キリスト教会にはこのほかにも、0歳から6歳の子どもたちとその家族を支える「ファミリーサポート“のあ”」や、小学校から高校生の子どもたちを対象としたチャーチ・フリースクール「のあインターナショナルスクール」、障碍を持つ大人を対象にした「地域作業所”まってる”」など、様々なミニストリーがある。これらはすべて、同教会の信徒たちが宣教の思いをもって自主的に始めたものだという。
これらの働きは、地域の人々を巻き込みながら、どんどんと発展している。同教会のユース牧師・池田恵賜師は報告の中で、これらのミニストリーを統合して、幼稚園から高校卒業までの地域の子どもたちを育てる総合育成校の設立を将来のビジョンとして語った。現在、横浜市の担当部署と折衝しており、市も、モラルの低下した現代社会にあってキリスト教のように一貫した正しい道徳観に基づく教育方針を歓迎しているという。地域の建設会社からもすでに協力の申し出があった。
これまでは教会学校の生徒を、小学生のリトルリーグや、中・高校の部活にとられてきた。しかし、同教会が様々な形で地域とかかわっていく中で、教会にいる若者たちの中にも、教会から離れるのではなく、逆に、教会が好きで、どんどん教会に集まりたいという姿勢が生まれてきたという。教会が夢を持つとき、若者がそれについてきたのだ。
同教会のユースミニストリーでは、毎年「ユース・クリスマス」を市内のホールで開催している。ある年には、来場者が1000人を超え、市会議員や区長も参加した。
若者たちは、ゴスペルサークル、漫画研究部など、自分たちの好きなことをするために、友達を教会に誘うことができる。受験シーズンには、受験生のためのサークルを教会内に設置。すると、本来なら教会から離れていく多くの受験生たちが教会に集まってきた。これを機に、中学から教会を離れていたが再び戻ってきた子、教会に導かれクリスチャンになった受験生もいた。教会員らの創意工夫によって、さまざまな働きが今も生まれている。
最後に池田博主任牧師は、「すべては主を伝える手段」「すべてを福音のために」と報告を締めくくった。