申鉉錫(シン・ヒョンソク)牧師 | |
桜美林大学(obirin Univ.)の元人気講師、申鉉錫(シン・ヒョンソク)牧師のコラム第3回目です。 このコラムは、韓国オーマイニュース(http://ohmynews.com/)に掲載され、当時大きな反響を呼びました。在日韓国人牧師という立場から、同師が日本宣教への夢を語ります。
◆霊的後進性の認識
日本はほとんどの面において世界の上位に立つ先進国である。だが一つの面、つまり霊的な面においては未だに後進国の地位を抜け出してはいないと、多くの人が認めている。伝統的な宗教は日本人の精神向上に大きな役割を果たしてきたが、現在裁判の真っ只中にあるオウム真理教を始め、幾つかの新興宗教の勃興は日本人にとって宗教アレルギーを起こし、宗教不信の風潮を作り出してきたことも否めない。
このような状況の中で、キリスト教は日本社会において全力投球して宣教に力を注いできたが、一向にキリスト者が増える様子は見えないのである。
以下において、1948年以来2003年までの日本のキリスト教人口の推移を見ることにする。
◆キリスト教人口の推移
筆者は三十数年間日本で宣教してきたのだが、日本の宣教は我々の伝道者の認識を超えて非常に難しいという結論に至っている。前々回に日本宣教の困難さを幾つかあげたが、それだけではない。もっと大きな要因があるのだが、それは後で述べることにして、ここでは先ず、次のキリスト者人口の推移を見ることから始めよう。
キリスト教年鑑2003年版によれば、ここ数十年間のキリスト者人口は余り増えていないのが分かる。過去1948年から2003年までの56年間のキリスト者人口の推移を見るとき、日本における救霊は空の星を取るに等しく難しい問題であると思う。
ここにその推移を数字で示そう。1948年331,087人であったキリスト者が1968年には747,001人に、1970年818,833人であったキリスト者が1986年には954,232人になった。1988年に1,008,654人であったキリスト者が1997年に1,084,737人となり、1998年には1,088,169人となった。1998年から2003年まで増加したキリスト者は僅かに20,503人で、2003年のキリスト者総数は1,129,157である。また日本の総人口におけるキリスト者の比率では1998年度に0.867%であり、2003年には0.887%である。
ところで総理府発表の2004年1月1日現在の推移月報によれば、日本総人口は12,750万人である。そこで日本の総人口の比率からすれば、1948年から2003年に至るまで日本のキリスト者人口はずっと1%を割っているのである。
こんなにもキリスト者人口が増えない本当の理由はどこにあるのか。これを追求し解決していくのが我々キリスト者の使命である、と筆者は信じている。
◆日本における伝道者の孤独な戦い
日本社会にあって、伝道者達は孤独な戦いをしている。特にプロテスタント教会においては、信徒500人以上の礼拝出席者を擁する教会は大教会と見ることができるのだが、そのような教会は数から見てそんなに多くない。ほとんどの教会が少人数(50人以下)の教会員を擁しているのが現状である。キリスト新聞2004年1月24日版によれば、「日本のプロテスタント教会の礼拝出席者は約19万人弱で伝道者の総計は9,500人。教会を実質的に支えているのは、これら出席者達と考えると、この数字からは、20人の教会員で1人の伝道者の家族の生活と、会堂の維持費、伝道費をやりくりする計算になる」と言っている。また日本の教会は高齢化現象で年金暮らしの方が多く、若年者層の受洗者が極端に減っているとも言う。現状では都会の一部の大教会は別として、今後ますます牧師家族の生活全てを教会員だけで支えていくことが難しくなると予測しているのである。このような現状では牧師は生活の為にどうしても働かざるをえないのである。
韓国の教会においても同じような現象はあるものの、韓国の教会員の牧師に対する考え方は日本の教会員の考え方とは大いに違う面がある。韓国の教会員は牧師の世俗の働きを容認しようとしないのである。ゆえに牧師は伝道にのみ専念することになる。日本の教会の牧師も近い将来生活のことで働くことなく、牧会活動に専念する日が来ることを祈るものである。韓国の教会においても都会の大教会及び自立する教会は別として、特に農漁村の教会に仕える牧師の生活は言葉に言い尽くし得ない程の苦しみを担っている。日本と韓国の少人数の教会が、特に伝道者の孤独な戦いが両教会を真に支えていると思う。
◆おわりに