キリスト教美術協会主催、第30回「キリスト教美術展」が今月28日から来月9日まで、東京銀座教会・東京福音会センターで開催されている。
28日はその初日として、銀座教会礼拝堂にて『講演会とオルガンの調べ』が催され、日本基督教団銀座教会オルガニスト中村氏によるオルガンコンサート、青山学院大学名誉教授兼アバコ、キリスト教視聴覚センター副理事長のジョージ・W・ギッシュ氏による講演会が行われた。その後はレセプションが行われ、美術作家と講演者、参加者らがともに軽食を食べながら交わりの時をもった。
ジョージ・W・ギッシュ氏は「キリスト教美術30年が次世代へ遺すもの」と題して講演し、日本キリスト教美術のすばらしさを語った。現代西欧美術は中世キリスト教美術から遠ざかり、自己中心的、世俗化した芸術が溢れている中、日本のキリスト教芸術家らは信仰に基づいた創作活動を行い、非常に質の高い作品を制作していると高く評価した。
また信仰をもった芸術家は、現代の世の中を「イエス様がどういう視点でご覧になっているか」を見る目が鋭く、深い信仰の世界が開かれているために質の高い作品となっていると説明した。
ギッシュ氏は、このような質の高い日本のキリスト教美術を次世代へと引き継がせることの重要性を強調。日本では個々の芸術家がそれぞれ作品を創作しているが、それらを統合・整理、デジタル化し、積極的に芸術系大学の教材として使用すること、カトリック、プロテスタント、キリスト教学校間の協力によるエキュメニカルな共同活動、またキリスト教のあらゆる分野のコラボレーションにより、エキュメニカル的協力(cooperation)、献身的交わり(commitment)、そして高い芸術能力(competence)を是非とも次世代へと引き継ぎ、発展させていかなければならないと語った。
日本のようにキリスト教人口が1%にも満たない国でキリスト教美術展を30年も継続させるためには、1930年から多くのキリスト教団体、芸術家らの努力があったことを証しした。今後もキリスト教美術展が継続できるためには、多くの賛助が必要だという。
美術展は入場無料。油彩や彫刻など多くの芸術家の、信仰のこもった芸術作品に、来場者はその一点ごとに目を凝らして鑑賞していた。