05年度のベルリン国際映画祭で3冠を受賞し、本年度のアカデミー賞外国映画賞の呼び名も高い映画『白バラの祈りーゾフィー・ショル、最期の日々』(2005年、ドイツ製作、マルク・ローテムント監督)が今月28日から日本で公開されるにあたり、監督のマルク・ローテムント氏をはじめ、「白バラ」メンバーの生存者であり白バラ財団名誉理事長のフランツ・ミュラー氏らを招いての公開記念シンポジウムが27日、東京ドイツ文化センター(東京・港区)で行われた。会場には250人を越す参加者が詰め掛け、本作品に対する日本での関心の高さが伺えた。東京ドイツ文化センター、キネティック、朝日新聞社主催。
映画『白バラの祈り』は、第二次世界大戦時、ヒトラー政権の中、「白バラ」と呼ばれた学生たちの反政府運動に参加したゾフィー・ショルが逮捕されてから取り調べを受け、処刑されるまでの壮絶な6日間を描いた実話に基づいた物語。作中には、当時若干21歳の学生でありながら、神への堅い信仰と祈りによって、ナチス政権下に屈しない強い精神と弱者への温かい心を保ち続けたゾフィー・ショルの姿が長期間にわたる緻密な調査を元に鮮やかに描かれている。
シンポジウムでは、元「白バラ」のメンバーで当時ドイツの人民裁判で有罪判決を受けたミューラー氏が、映画では語りきれなかったより詳細な当時の様子を伝えた。
ローテムント監督は、「今の若い世代は過去をよく学ばなければならない」「私たちには戦争に対する直接の罪はないが、その歴史的事実を知る責任がある」と会場にいた日本の若者たちに訴えた。
また82年公開の作品『白バラは死なず』の監督を務めたミヒャエル・ヘルホーファン氏は、主人公ゾフィー・ショルについて「どんな困難にも立ち向かう強い精神を保ち、同時に弱者に対する配慮を忘れなかった彼女にあったものは熱い信仰心だった」「『白バラ』は現代の私たちに大きな希望を与える」と語った。
『白バラの祈りーゾフィー・ショル、最期の日々』は、1月28日(土)より、シャンテ・シネ、横浜シネマリンほか全国で順次公開される。詳細はホームページ(http://www.shirobaranoinori.com/)で。