クリスチャンであるあなたが、家族や職場の中にいることは、実に幸いなことです。あなたの信仰が周りの人に恵みをもたらすことを知ってほしいのです。
今日の聖書は、預言者エリシャの物語です。彼がいるだけで、イスラエルの国は、大きな恵みを受けていました。当時、イスラエルは、隣国アラムと戦闘状態にあり、事あるごとにアラムの略奪隊が侵入して来て、町を襲っていました。ところが、ある時、不思議なことが起こり始めました。アラムの秘密の作戦会議の内容がイスラエルにばれているようなのです。町を襲っても、逆にイスラエル軍に返り討ちに合ったり、待ち伏せの陣を張っていても、イスラエル一行が現われなかったりということが相次いだのです。とうとう、アラムの王は「作戦を敵に漏らしているのは、誰だ」と怒り出しました。すると、ある家来が「それは、イスラエルの神の人エリシャのせいです。神の霊が彼と共にあって、王様が寝床で語ることも、筒抜けなのです」と告げ、それを聞いた王は、エリシャがドタンにいることを突き止め、捕らえて殺してしまおうとしたのです。ある朝、エリシャの召使いが目覚めると、町全体が敵の軍隊に取り囲まれていました。「ご主人様。どうしたらよいのでしょう」と慌てふためく召使いに、エリシャは動じることなく、「恐れるな。私たちの味方は、敵よりも多いのだから」と語り、「神よ。彼の目を開いて下さい」と祈ったのです。すると、召使いにも、数限りない神の軍勢が彼らを取り巻いている様子が見えたのです。その後、彼らは守られて、アラムと友好関係を結び、神の大きな恵みを体験したのでした。
私たちがどんなに小さくとも、力強い信仰生活を積み上げる秘訣は何でしょう。三つのことを共に学びましょう。
1.何が起こっても、恐れない
敵に囲まれた時、エリシャも召使いも、敵が突撃を開始すれば、自分たちの命はひとたまりもないことをわかっていました。でもその中で、エリシャは「恐れるな」と語りました。
クリスチャンになったからと言って、私たちは試練に遭わないというわけではありません。恐怖にさいなまれ、動揺した時、事が決着する前から「もう、これで終わりだ」と負けてしまってはいけません。私たち人間は誰しも恐れやすい者です。だから、信仰者である私たちは、投げ出す前に、信仰を持って一言「恐れるな」と祈らなければならないのです。「私は恐れない」と告白する時、信仰のスイッチが入って、目の前に広がるこの世の表面的な出来事だけでなく、聖霊の力が働く信仰の世界が動き始めるのです。
2.必ず、助けを備えておられる神
敵は存在し、敵にも武器があり、攻撃も盛んでしょう。でも、エリシャは「私たちとともにいる者は、彼らとともにいる者よりも多いのだから」と語ります。神の力が悪の力を攻撃し、私たちを守って下さり、神の防御は鉄壁なのです。天の軍勢が私たちの周りを取り巻いていることをはっきりと知りたいのです。
20年、30年、50年と信仰生活を歩んできた兄弟姉妹にも、色々なお証しがあると思いますが、共通して分かち合えるのは「あの時、『自分や人の力ではどうしようもない。もう、だめだ』と思いました。しかし、神が不思議な方法で、私を助け導いて下さいました」というお証しです。私たちが出くわす問題より、神の助けや祝福の方が、必ず力強いという原則を忘れてはいけません。備えられた助けは必ずそこにあり、問題や悩みよりも大きいのです。
3.霊の目を開く
「神様、若い者の心の目を開いて下さい」とエリシャは祈りました。すると、召使いの目は開かれ、見ると、自分たちの周りに、神の助けの軍勢が、見渡すばかり、数限りなく山の上にまで広がっていたのです。
私たちの心の目は、閉ざされてしまいがちです。でも、人生には、肉体の目では見ることができない、心の目でしか見ることのできない大切なものがいっぱいあることを忘れてはいけません。いつまでも残るものは、信仰と希望と愛であり、私たちの人生にとって本当に価値あるものは、ほとんどが目に見えないものなのです。私たちは、それらを信仰の目を開いて見ることができる者となりたいのです。
長く信仰生活を歩んでいると、試練も、問題も、落ち込むこともあります。でも、神の助けはあなたに充分です。それを掴むために信仰の目を開き、イエスを仰ぎ見ましょう。
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万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。