第一の鍵は、「成功を信じること」です。
「だれでも、この山に向かって、『動いて、海に入れ』と言って、心の中で疑わず、ただ、自分の言ったとおりになると信じるなら、そのとおりになります」(マルコ11:23)との約束を実際に信じるのです。あなたが自分は必ず成功できると信じるなら、不可能の山や障害は動き出し、成功を手中にするのです。
「私は実際にそれができるのだ」という態度は、それに必要な力、技術、エネルギーをあなたにもたらします。強い信仰は、手段と方法を必ず見出します。
私は長年、朝日放送で「希望の声」というラジオを放送しています。最初、ラジオ放送の話があった時、すべては不可能に思えました。経済的にも、キャリア的にも、まず無理だという判断を下した方が、常識に適っていました。しかし、信じることができたのです。だから今日も私はラジオ放送を続けています。
信じないことは、否定的な力です。心が信じなかったり、疑ったりしている時は、その不信を裏付ける理由をいくつも作り出します。疑念、不信、失敗するだろうという潜在意識が、失敗をもたらすのです。疑いを考えれば失敗します。勝利を考えれば成功するのです。
作家の宇野千代さんは、「おはん」という作品を書いた後、ピタリと筆が止まってしまいました。一行も書けないのです。彼女は「私はもう書けない。私にはもう書くことがない。私はちょうどそういう年齢に達したのだ。詩想が枯渇する年齢になったのだ」という、一つの牢固とした抜き難い考えに支配されたのです。「人間は何事も自分の考えたとおりになる。自分が自分に与えた暗示のとおりになる」。まさしく、そのとおりになってしまいました。
そんなある夜のこと、中村天風という当時88歳の哲学者の話を聞きました。「できないと思うものはできない。できると信じることはどんなことでもできる」。そう言われて、「本当か。では、私は書けないと思ったから書けないのか。書けると信じれば書けるようになるのか」と彼女は考えました。17、8年の間、一行も書けなかったはずなのに、ある日、ほんの二、三行が書ける、また一枚書いた。書ける。「ひょっとしたら、私は書けるのではあるまいか」。そう思った途端に書けるようになったのです。書けないのは、書けないと思ったから書けないのだ。書けると信ずれば書けるのだ。この思いがけない、天にも昇るような啓示によって、そうだ、失恋すると思うから失恋するのだ。世の中のすべてが方程式のとおりになると、彼女は確信しました。その時から宇野千代さんは、まるで蘇生したかのように書き始めたのです。
人間の心は、思考の工場です。思考の工場の生産は、二人の工場長によって管理されています。一人を勝利氏と呼び、もう一人を敗北氏と呼ぶことにします。
勝利氏は積極的な考えの生産に当たり、なぜあなたはできるか、なぜあなたにその資格があるか、なぜあなたはそれに相応しいかという理由付けに専念しています。
敗北氏は消極的で、ものを無価値にする考えを生産します。なぜあなたにそれができないか、なぜあなたは弱いか、なぜあなたは不適当なのかという理由を見つけるのが得意です。
二人とも大変従順です。彼らはあなたのちょっとした合図にも、すぐに反応します。もしその合図が積極的なものなら、勝利氏が一歩踏み出して、成功的な働きを始めます。同じように、消極的な合図は、敗北氏に働くチャンスを与え、すぐ失敗させてしまうのです。
どんな時にも、勝利氏にあなたの思考工場の管理を任せなければなりません。敗北氏に委ねるなら、メチャクチャにされてしまいます。
成功へのステップは、積極的な成功思考を持ち、自分が成功することを本気で信じることです。
そのためには第一に、成功を考え、失敗を考えないことです。第二に、自分で考えるよりも、あなたはずっと立派だと、いつも思い出すことです。第三に、大きく信じることです。あなたの成功の規模は、あなたの信仰の規模によって決まります。小さな目標は、小さな成功しか期待できません。大きな目標を考えれば、大きい成功が得られるのです。
第二の鍵は、「大きく考えること」です。
成功は学歴や年齢、家柄や資産で測られるものではありません。それは考えの大きさによって測ることができます。成功を妨げる敵は、あなた自身です。「汝自身を知れ」という有名な言葉がありますが、多くの場合、この言葉の消極面ばかり強調されています。そうではなく、あなたのすばらしい面を、積極的に見ることを訓練してください。
あなたの主要な長所を五つ挙げて、あなたはあなたが考えているよりも大きいことを知ってください。断じて自分自身を過小評価してはなりません。あなたの命は全世界よりも全宇宙よりも尊いのですから。
また、言葉の言い回しにも気を付けることです。大きく考える人は、自分自身の心と人の心に、積極的で、前向きで、楽天的なイメージが描かれるような言葉遣いをします。
そのためには少し練習が必要かも知れません。
1.あなたがどう感じているかを説明する時は、大きく、積極的で、元気の良い言葉や言い回しを用いることです。
2.他人のことを説明する時にも、明るい、元気の良い、好意のある言葉や言い回しをしてください。
3.人を元気付ける時も、積極的な言葉を使うことです。あらゆる機会を捕えて、人を褒めてください。あなたの夫や妻に、毎日特別すばらしい言葉を用意してください。彼らの外観、仕事、業績、家族、趣味、衣服等、褒める材料は一杯あるはずです。
4.計画を人々に説明する時には、積極的な言葉を用いるのです。勝利を約束すれば相手の目も輝きます。勝利を約束すれば支持も得られます。城を築くのです。墓を掘ってはなりません。
大きく考える人は、今までどうだったかではなく、これからどうなるかをいつも考えます。人間は現在ある自分や、目の前にいる人の今までの業績を見るのが精一杯で、これから自分がどうなるのか、人がどれだけ変わることができるか、という可能性を見ることができません。だからいつも見るものに価値を付け加える練習をするのです。
1.物事に価値を付け加えなさい。物事をより価値あらしめるアイデアを探しなさい。
2.人々に価値を付け加えなさい。イエス・キリストはその専門家でした。彼が最初の弟子シモン(葦という意味)に出会った時、わたしはあなたをペテロ(岩という意味)と呼ぶと、風にそよぐ頼りない葦のようなガリラヤの漁師に、揺らぐことのない岩石という価値を付け加えたのです。そしてペテロは文字どおり、教会の岩となったのです。
3.自分自身に価値を付け加えなさい。自分自身と毎日面接し、あなたがそうなるであろう自分を見るのです。自分に価値を与えなさい。
ペルシャの王子の話があります。彼は非常に賢く有能でした。学問にも武勇にも優れていました。しかし、残念なことに、背中が曲がってしまっていたのです。父王はこの賢い王子が12歳になった時、誕生日の贈り物を約束しました。王子は自分の彫像を願い、父王は嘆きました。まだ何の業績も残していない12歳の王子の愚かさを悲しみました。しかし、王子はペルシャで一番有名な彫刻家に頼んで、背中の曲がった姿ではなく、すっくと立つ凛々しい若者の彫像を刻んでもらったのです。その日から王子は朝も晩もその彫像の前に立ち、寝る時もできるだけ背を伸ばして休みました。
やがて王子の20歳の誕生日がやって来ました。ファンファーレと共に登場した王子の姿に人々は驚きました。そこにいるのは背中の曲がった青年ではなく、雄々しくそそり立つ、あの彫像そっくりの王子だったのです。
あなた自身に自信を持ち、価値を付け加えなさい。新しいあなたが誕生すること請け合いです。あなたの目を大きな目標に向けなさい。つまらない落とし穴に落ち込まないように、本当に重要なことは何か、いつも問い続け、それを行いなさい。
第三の成功するための鍵は、「あなたの態度をあなたの味方にすること」です。
正しい態度は人との上手な交わりを可能にし、あなたを指導者に育て上げます。次の三つの態度をあなたのものとしてください。
1.私は張り切っているという態度を育て上げることです。人を張り切らせるためには、まず自分が張り切らなければなりません。人を熱心にならせるには、自分が熱心になることが必要です。熱意のある人は、すぐ熱意のある追随者を持ちます。熱意のある教師は、熱意のある生徒を持つようになります。あなたのするすべてのことに活気を与えるのです。握手をする時は、手をしっかり握って、大きく振ります。あなたの握手が、「お近付きになれて嬉しいです」「またお目にかかれて嬉しいです」と言っているようにするのです。あなたの微笑みも、活気のあるものにするために、目も微笑み、本気で微笑むのです。話し方も、活気を込めて、力強く、元気良く話すことです。天候の話であっても・・・・・・。
2.あなたは重要な人であるという態度を育て上げることです。そのためには、あなたもまた人々をVIP(重要人物)として扱うことです。温かい、心からの微笑みで、感謝の意を示すことです。人間は名前で呼ばれるのが好きです。だから名前を覚えて、人々をその名前で呼ぶことです。栄光や賞賛を、決して独り占めにしてはなりません。共有すべきです。あなたの友にあなた以上の拍手が行くように、いつも考えることは賢明なことです。
3.成功は他の人々の支持によって得られるのです。だから人に好かれる人間、人々と上手くやって行く能力を身に着けることです。人から引き上げてもらえるような人間になりなさい。進んで友情を結びなさい。人の欠点を赦す寛容な心の持ち主になりなさい。
さあ、積極的な成功意識があなたのものになりました。あとは目標に向かって、それをやり遂げる行動力のみです。ギアを入れて前進しましょう。
心からあなたの人生の成功と繁栄をお祈りいたします。
榮義之(さかえ・よしゆき)
1941年鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。生駒聖書学院院長。現在、35年以上続いている朝日放送のラジオ番組「希望の声」(1008khz、毎週水曜日朝4:35放送)、エリムキリスト教会主任牧師、アフリカ・ケニアでの孤児支援など幅広い宣教活動を展開している。