手足に障害を持つクリスチャンの詩画作家、星野富弘さん(64)の作品を展示する「富弘美術館」(群馬県みどり市)と「星野富弘美術館」(熊本県芦北町)に、合計で約5000万円の現金が届いた。差出人の記載はなく、「お役立てくださいましたら幸いです」などと寄付の意思を示すメモが添えられていた。美術館側は匿名による寄付として受け取り、美術館の運営に役立てる方針。
報道によると、富弘美術館には今月10日、13日に現金が入った茶封筒が計3通、星野富弘美術館には同11日、13日に計2通が郵送で届いた。そえぞれ届いた金額は3001万円と2000万円で、封筒にはいずれも「さいたま」の消印があった。5通ともに筆跡が似ているメモ書きがあり、届いた時期もほぼ同じことから、同一人物の可能性が高い。
星野さんは「ぜひ美術館のために使ってほしい」(産経新聞)とコメント。富弘美術館は「自治体の財政が厳しい中、多額の寄付は」(同紙)としている。
星野さんは群馬県勢多郡東村(元みどり市)生まれ。24歳の時に中学校の体育教師に着任したが、クラブ活動の指導中に頸髄損傷の重傷を負い、肩から下の機能が麻痺する。9年間にわたる入院生活の間に洗礼を受けクリスチャンに。母親の献身的な看病や看護師らの助言に支えられて、自由が利く口で絵筆をくわえて詩画を描き始める。
退院後も故郷で創作活動を続け、全国各地や海外で詩画展を開催するようになった。中学校の国語や道徳の教科書にも随筆が掲載され、多くの人に感動を与えた。06年には群馬県名誉県民の称号を授与されている。