日本福音自由教会協議会は9月23日から25日まで、日本福音自由教会の創立60周年を記念する大会を静岡県掛川市で開催した。同協議会は今年2月に組織を一新し、新体制でのスタートを切ったばかり。今回の大会も、大会会長、実行委員長を含め、説教者、通訳者、司会者のほとんどが30代から50代と、新しい世代が活躍する場となった。講演では、戦後間もない日本で福音自由教会の開拓を進めた初代宣教師のカルビン・ハンソン氏(85)が、開拓精神あふれるメッセージを伝えた。
同協議会は07年の総会で役員が総辞職した後、3年にわたって抜本的な組織改革を検討してきた。新体制で臨んだ今大会には、予想を大きく上回る722人が参加した。同協議会会長で大会会長の拝高真紀夫氏(広島福音自由教会主任牧師)は今大会について、「(日本の福音自由教会にとって)ひとつの転機。過去の霊的遺産を確認し合い、世界宣教を視野に入れながら、全人的な宣教を推進していこうという新たな出発式となった」と語る。同協議会新体制検討委員の北野献慈氏(同教会牧師)も、大会が祝福のうちに終わったことについて「意義は大変大きい」と述べ、新体制への期待感を示した。
今大会のテーマは「初めの愛から―聖めと献身」。講演でハンソン氏は、切迫した再臨信仰と個人伝道に焦点を当てたメッセージを力強く語った。また、同氏の伝道が、生涯にわたって親交のあった友人5人の忠実な祈りと支援によって支えられたことを紹介した。同氏の講演について北野氏は、「一同初心に返らされた。宣教は一人ひとりの祈りと、献身的、主体的取り組みが大切であるとのチャレンジを受ける良い機会となった」と語った。
ハンソン氏は1949年、若干24歳で夫人とともに来日した。まず東京で語学研修を受けた後、1950年2月、埼玉県浦和市(現・さいたま市)で開かれていた米軍チャプレンのバイブルクラスと自分のクラスを併合して県庁ロビーで聖書を教え始めた。同年5月より浦和市で本格的な開拓伝道を開始した後、同年11月には「日本宣教は、京都から」とのビジョンが与えられ、京都に伝道の中心を移し、関西、関東の宣教を進めた。
同氏の開拓伝道によって始まった同協議会は現在、教会数61(その他25の伝道所等)、教職者87人(その他伝道者等が約20人)、会員4667人、礼拝出席者4832人の群れにまで成長している。
その一方で、近年になって開拓伝道が低迷していることが同協議会の課題のひとつだ。1976年から95年の20年間には24の教会が開拓されたのに対し、1996年以降の15年間で開拓された教会はわずかに2つ。そのような状況で初代宣教師から直接メッセージを聞けたことについて北野氏は、「背筋を正された思いにさせられ、恵みに他ならない」と語った。
大会にはハンソン氏らを日本に派遣した米国福音自由教会のほか、中国やシンガポール、フィリピンなどアジアの福音自由諸教会からの代表者が出席した。シンガポールの大型教会を牧会するエドモンド・チャン氏が2回の早天集会で講演するなど、アジア諸教会との交流も深まり、各国との更なる宣教協力に向けて期待が高まった。
2日目夜の記念式典では、ハンソン氏のほか、同協議会会長などを歴任した西本一雄氏(78)、革新的教会形成を実践し、日本国際飢餓対策機構理事長などを歴任した堀内顕氏(78)に功労賞が贈られた。また、同協議会所属の教会に40年以上在籍している大会出席者65人にも記念品が贈呈された。
最後の出発礼拝では、参加者全員が、「主イエス・キリストの大宣教命令(マタイ28・19〜20)に従い、隣人愛をもって社会の必要に応える世界大の宣教を力強く推進する」との大会宣言文を唱和した。
北野氏は、「この大会を単に一過性の『お祭り』に終わらせてはならない。我々一人ひとりが主からハンソン師に与えられた宣教へのスピリットを継承していく時こそ、また、この宣言を共有する日本、アジア、世界の神の民、キリストの教会と交わりを深め、協力していく時にこそ、主の救いが明確に証され、宣教がさらに力強く前進していくことを確信する」と語った。