明治時代に長崎で宣教したフランス人宣教師マルク・マリー・ド・ロ神父がかつて開墾した農地の再生に、地域住民らで作る「ウーデーラ作業部会」(村上博部会長)が取り組んでいる。長崎新聞が伝えた。
ド・ロ神父は1868年に来日したパリ外国宣教会所属の司祭。宣教地であった長崎で社会福祉活動と、農工業や建築といった様々な技術の伝承に努めた。1884年から1901年までの17年間は地域住民の生活向上のため、自ら買い求めた大平地区(長崎市西出津町)の原野を開墾した。
ド・ロ神父が開墾した農地は市指定の史跡「ド・ロ神父大平作業所跡」として残っており、約35年前まではこの農地で作物も作られていたというが、その後使われなくなったため近年は草木が生い茂った荒れ地となっていた。
地元での大平地区の通称「ウーデーラ」を名に冠するウーデーラ作業部会は今年4月、「農地をよみがえらせ、人と人とが支え合うド・ロ神父の精神を語り継いでいこう」と地域住民ら約40人で発足。5月に除草作業を始め、畑2面計約6000平方メートルを再び開墾。今月上旬にはソバの種を蒔き、農地の再生を進めている。
同紙によると、同作業部会長の村上氏は「再生した農地を活用し、貧しい人々を救おうと尽力したド・ロ神父の精神を受け継いでいきたい」と話している。