・・・人々が中風の人を床に寝かせたままで、みもとに運んで来た。イエスは彼らの信仰を見て、中風の人に、「子よ。しっかりしなさい。あなたの罪は赦された。」と言われた。・・・「『あなたの罪は赦された。』と言うのと、『起きて歩け。』と言うのと、どちらがやさしいか。人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを、あなたがたに知らせるために。」こう言って、それから中風の人に、「起きなさい。寝床をたたんで、家に帰りなさい。」と言われた。すると、彼は起きて家に帰った。・・・(マタイ9:1〜8、16〜17)
私たちが手にする収入と幸福感にどのような関連があるか、プリンストン大学の教授たちが中心になり、米国の45万人程の人々に調査をしたところ、日本円で六百数十万円の年収を超えたところから幸せの実感は変わらない、という結果が出ました。やはり、幸福はお金では買えないということです。神からの贈り物である私たちの命が、本当の幸せを体験するためには、神が与えて下さる救いをいただくことが一番の近道なのです。
今日開いた聖書は、中風の男が寝かされたまま、友人に運ばれてイエスのみもとに連れて来られ、彼らの信仰によって癒された物語です。それまでの宗教学者とは違う、救い主イエスがこの世に現われて下さったことによって、誰も実現することのできなかった素晴らしい癒しと解放の御業を、人々は目の当たりにしたのです。この物語を通して、二つのことを私たちはしっかりと胸に刻み、癒しを求めて祈りましょう。
1.常に権威が伴うイエス・キリストの御言葉
イエスはこの中風の男に「子よ。しっかりしなさい。あなたの罪は赦された」と宣言され、「起きて床を取り上げて、家に帰りなさい」と命じられました。身体の自由が利かなかった男に対して言われたイエスの御言葉は、わずか二言だけでした。しかし、二言だけでありながら、その御言葉には権威があったのです。
今の世の中は情報化社会ですが、上っ面の言葉や、人をだます言葉、昨日は語られても今日は変わってしまう頼りがいのない言葉があふれています。
私たちは、教会に集い、賛美を歌い、祈り、聖書の御言葉を紐解いて、神から何をいただくのでしょうか。私たちは、権威ある御言葉をいただきましょう。キリストは、私たちを救い、癒しうる権威ある御言葉を語って下さいます。
2.確実に起こる癒しの業
最初、イエスは中風の男に、「あなたの罪は赦された」と語られました。そうすると、周りにいた律法学者やパリサイ人たちは、イエスを単なる人間だと思い、神ご自身であることを見抜けず心の中で、「神以外に、人の罪を赦すことなどできない」とイエスを裁きました。それに対してイエスは、「『あなたの罪は赦された。』と言うのと、『起きて歩け。』と言うのと、どちらがやさしいか。人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを、あなたがたに知らせるために」そして、「起きなさい。寝床をたたんで、家に帰りなさい」とおっしゃいました。ご自分の御言葉に本当に権威があることを皆に教えるため、わかりやすいように、病を癒して見せたのです。人々は驚嘆しました。今まで見たことも聞いたこともない、有り得ないことが目の前で起こったからです。でも、その癒しの御業こそが、キリストが現われて下さることによってもたらされた本当の神からの恵みなのです。
信仰を持ってイエスによる病の癒しを考える時に、私たちにとって難しいからと言って、神にとっても難しいとしてはいけません。「罪は赦された」と言うより、「起きて歩け」と言うほうがやさしいのです。神以外にできない罪の赦しさえ行なわれるイエスにとって、病を癒すことは、やさしいことなのです。ですから、クリスチャンである私たちが、「私の病気は、なかなか治らない」と考えるのではなく、癒しは、神であるイエスにとって、極自然で当たり前のことだと、はっきりと信じていきたいのです。
最近も、私たちの周りで、癒しの御業が起こっています。火傷を負った姉妹がイエスによってわずか1日で完治したり、12日の週報の中には、霊的な圧迫のあったひとりの魂が、瞬間的にイエスによって解放されたお証しがありました。肉体の病の癒しも、心の病や霊的な束縛からの解放も、イエスにとっては決して難しいことではなく、確実に起こることなのです。
この聖書の物語と同じように、救い主イエス・キリストが私たちの人生に関わって下さる時に、今まで有り得なかった新しい恵みが、私たちの心や生活の中にも必ず起こります。
イエスの力は、新しいぶどう酒が活発に発酵するような若々しい力です。新しいぶどう酒を古い皮袋に入れれば、伸縮性の少ない皮袋は裂け、ぶどう酒は流れ出てしまう、と聖書は語っています。新鮮なエネルギーあふれるイエスの恵みを、古びた信仰ではなく、新しい信仰の器で受け止めてまいりましょう。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。