環境問題の解決策を議論する前に、その根本的な原因である人間の罪に注目することから環境問題の意味を見直そうとする取り組みが広まっている。昨年9月に開かれた第5回日本伝道会議(JCE5)のプロジェクトチーム環境部門では、環境問題の根本的な原因として人間の「むさぼり」の罪を指摘。同プロジェクトチームリーダーの住田裕氏(日本長老教会幡ヶ谷キリスト教会牧師)は、環境問題に対する霊的な視点に立った発言がキリスト教会からもっとあるべきだと語る。
地球5・3個分。これは、米国人のライフスタイルで68億人が暮らすのに必要な環境容量を示している。日本人も2・4個と負けていない。先進諸国の現在の暮らしは、環境容量を超える莫大な負荷を地球にかけているのだ。
循環型社会という言葉がよく使われる。ペットボトルの回収率について日本は、先進国の中でもトップクラスだ。新しい生産技術の研究も進み、より質のよい再生品が生み出されている。しかし、そもそも新しいペットボトルを3本つくるには、平均男性の基礎代謝量に相当するエネルギー量が必要だ。炭酸ガス排出量でも日本人は、生物的な必要量の約7倍を排出している。ライフスタイルの見直しは必至だ。
住田氏は、環境問題の背後に人間の「むさぼり」の罪があると指摘する。聖書には、「このむさぼりが、そのまま偶像礼拝なのです」(コロサイ3:5)とある。住田氏は、飲食という基本的なライフスタイルの中にもクリスチャンとしての生き方が問われていると語る。
キリスト教系NGOの日本国際飢餓対策機構では1982年から、10月16日の「世界食料デー」にちなんだ啓発活動を日本でいち早く展開。毎年、地元の市民や行政機関などと協力し、全国各地でイベントを行っている。
昨年は、家庭での食生活を見直すための小冊子「する決心、しない決心」を配布。「食べ残しをしない」「地元のものを買う」など、毎日の生活ですぐに実践できる項目を並べ、参加者に具体的な決心を呼び掛けた。
日本国際飢餓対策機構によると、世界では1分間に17人が、飢えが原因で命を落としている。日本人の豊かな生活と貧しい人々の飢餓は無関係ではない。クリスチャン発信の新しいライフスタイルの提示が求められている。