五旬節の日になって、みなが一つ所に集まっていた。すると突然、天から、激しい風が吹いてくるような響きが起こり、・・・炎のような分かれた舌が現われて、ひとりひとりの上にとどまった。すると、みなが聖霊に満たされ、御霊が話させてくださるとおりに、他国のことばで話しだした。さて、エルサレムには、敬虔なユダヤ人たちが、天下のあらゆる国から来て住んでいたが、この物音が起こると、大ぜいの人々が集まって来た。彼らはそれぞれ自分の国のことばで弟子たちが話すのを聞いて、驚きあきれてしまった。(使徒の働き2章1節〜13節)
今日開いた聖書は、イエスが十字架に架かられた時から50日目の出来事でした。集まっていた弟子たちの上に、神の御霊が降り注ぎ、その瞬間から、彼らの生き様がガラリと変わったのです。それまでの弟子たちは、イエスが十字架で死んでしまったため、喜びも感謝も目的も失い、今後どうしたらよいのかわかりませんでした。
使徒の働き1章6節でも、復活のイエスがおられたにもかかわらず、弟子たちは、イスラエルの国の再興という古い期待感で生きていて、神による新しい時代が開かれていることに気付いていませんでした。そんな、いまだにずれている弟子たちに、神から素晴らしい恵みが届けられました。聖霊によって、新しい世界が展開していったのです。聖霊によって動き出す新しい世界について、3つのことを学びたいと思います。
1.最初に、神の偉大な働きが現れる
1節から4節では、弟子たちが頑張ったから、神が報いて下さったのではなく、神からの一方的なお働きであったと書かれています。弟子たちは、集まっていただけで、そこに突然、家が揺さぶられるほどの振動を伴い、突風が吹いてくるような音が響き渡り、燃える舌のような炎がひとりひとりの頭にとどまったのでした。そしてその瞬間、弟子たちは聖霊に満たされ、今まで語ったことのない、他国の言葉で語り出したのです。
聖書を見ると、素晴らしいことに、いつも神の側から力強く働きかけて下さるのです。この世に何も存在していなかった時、神ご自身が「光よ、あれ。」と語られ、天地を創造されました。人々が求めたわけでもないのに、神はモーセを通して十戒を与えられました。また、人々が準備したわけでもないのに、神が人となられることによって、御子イエス・キリストがこの世に来て下さり、十字架の死により罪を贖って下さり、死の力から復活されました。聖書の中心部分ではいつも、神ご自身が偉大な働きをなして下さるのです。
2.神を証しする者へと変えられる
5節から6節では、エルサレムでペンテコステの祭があったので、当時の世界中からユダヤ人たちが里帰りをし、集まっていました。彼らは、自分たちの国の言葉で、弟子たちがイエス・キリストの御業を証ししているのを聞いたのです。神の力が働く時、私たちに起こる最初の変化は、イエスの素晴らしさを伝える者に変えられるということです。
もし、あなたも神からの奇跡を体験したければ、たったひとつ、「私を通して、神の恵み深さが人々にわかりますように。」という心構えでいて下さい。
レギオンに取り憑かれたゲラサ人の男が癒された物語で、イエスは「主が、どんなに素晴らしいことをして下さったかを証ししなさい。」と言われました。イエスは、私たちが神から恵みをいただく時、証しすることを望んでおられます。
上手に語れないかもしれませんし、説得力もないかもしれませんが、いつまでも「私は目立ちたくない、クリスチャンだと、周りに悟られたくない。」という姿勢ではいけません。良いものを分かち合おうとすることが、クリスチャンの姿勢です。神の祝福の接点として用いられてまいりましょう。
3.不思議な御業が起こる
7節から13節では、人々は怪しみ、「酔っぱらいだ。」と、あざける人もいました。しかし、当時の世界中から、祭のために帰って来ていたユダヤ人たちは、実際に言葉がわかったのです。彼らの国の言葉を、ガリラヤ出身の弟子たちが、みごとに語り、イエス・キリストの十字架とよみがえりを証ししているのは、「奇跡だ。」と驚いたのです。弟子たちには、奇跡を起こすための何の準備もなく、ただ、聖霊に満たされた時、使徒の働きにこの後もずっと現われるしるしと不思議として異言が与えられたのです。
弟子たちは、キリストの使徒と呼ばれるようになり、祈る時に、病人は癒され、様々な不思議が起こり、神が共にいることがはっきりとわかり、初代教会は力強く前進し、爆発的な勢いで成長していきました。その証拠に、2010年、日本の教会で、私たちもこの物語を味わうクリスチャンにされています。
あなたのためにも、神は素晴らしい力で働きかけて下さいます。聖霊によって、私たちのありきたりの人生を新しい世界へと引き上げて下さいます。主の証し人として立ち、素晴らしい神の奇跡を体験してまいりましょう。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。