イエス・キリストの埋葬時に遺体を包んでいたとされている「トリノ聖骸布(The Shroud of Turin)」をナチス・ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラーが手に入れようと図ったが、イタリア北部トリノから南部の修道院に秘密裏に移送され難を逃れていたことがわかった。修道院の神父が7日発売のイタリア誌で明らかにした。
神秘的な物に強い興味を持っていたヒトラーは1938年にイタリアを訪問した際、部下を通じて調べさせるなど聖骸布の入手を企図。これを感知したバチカンおよび当時聖骸布を所有していたイタリア王家は39年、聖骸布をトリノから南部カンパニア州のモンテベルジネ修道院へ秘密裏に移送し、46年まで保管した。43年にはドイツ軍が同修道院を捜索したが、その際は修道士らが聖骸布が隠されている祭壇の前で熱心に祈るふりをし、兵士らの目を欺いたという。
聖骸布は縦4・36メートル、横1・1メートルほどの杉綾織の亜麻布で、イタリア・トリノのヨハネ大聖堂に保管されているため、そう呼ばれている。イエスが死んだとき、頭を真ん中にし、布を二つ折りにするかたちで遺体を包んだものだとされており、1898年に初めて布を写真撮影したセコンド・ピア氏のネガから布に刷り込まれた男性の姿が発見され、それがイエス・キリストの姿だと言われている。聖骸布の存在については、古くから伝えられており、西暦33年にはすでにエルサレムで確認されていたと言われている。
2000年の一般公開では100万人以上が来場した。今月10日から、10年ぶりに一般公開される予定。