ところで、その六か月目に、御使いガブリエルが、神から遣わされてガリラヤのナザレという町のひとりの処女のところに来た。・・・御使いは答えて言った。「聖霊があなたの上に臨み、いと高き方の力があなたをおおいます。それゆえ、生まれる者は、聖なる者、神の子と呼ばれます。・・・神にとって不可能なことは一つもありません。」マリヤは言った。「ほんとうに、私は主のはしためです。どうぞ、あなたのおことばどおりこの身になりますように。」こうして御使いは彼女から去って行った。(ルカの福音書1章26〜38節)
留学中、アメリカで迎えたクリスマスは、四国育ちの私にとって生まれて初めての、降り積もる雪の中でのホワイトクリスマス。訪れた大教会では、全くのお客さん扱いで、子供の頃からずっと忙しいクリスマスを経験していた私にとって、人生で初めて楽ちんのクリスマスでした。しかし、2年目に同じ体験をした時、間違いに気づきました。
クリスマスの恵まれ方にはコツがあります。それは、私たちの持っているものを、神の御心のために、また人々の救いや祝福のために注ぎ出し、仕え、与えていく姿勢を忘れないことです。単なる見物人、お客さんではイエスの恵みはやってきません。真実のクリスマスには、救い主であるイエスがそこにおられますから、人生を変える力が働きます。この恵みを掴み取りましょう。
今日開いた聖書箇所は、受胎告知と呼ばれるおなじみの箇所です。処女マリヤのところに御使いが現れて、イエスが生まれることを告知します。聖書が記す様々な奇跡の中でも神が人となるという、この天地宇宙の歴史の中での最大の奇跡が起こった力はどこにあるのかを見ておきたいのです。そこには、聖霊に関する3つの事実があります。
1.聖霊の存在
聖書は、私たちは霊的な存在でもあり、私たちの周りには、目に見える世界が存在すると同時に、霊の力が働く世界が存在することを語っています。
生まれながらの罪に生きている私たちは、好奇心や自分の関心で、幽霊や怪しげな霊についてはすぐ心を開きますが、聖霊の働きを受け止めることができません。
しかし、イエス・キリストの御業をいただき、キリストと共に歩んでいる私たちは、悪の霊が働く世界ではなく、神の清い聖霊が働く世界に生きることができるのです。
神によって選ばれたマリヤに対して、御使いは聖霊が臨むと宣言したのです。そしてあなたの人生の中にも同じ神の御霊が飛び込んでくるのです。
2.聖霊の働きかけ
聖霊はただそこにあるだけではなくて、私たち人間に対して働きかける神の霊なのです。
聖霊は霊として存在しているだけではなく、常に人へと働きかけて、私たちの内に宿ると、今度は私たちの思いを神に結び付けようと働きかける、神の霊であることを忘れてはなりません。
3.聖霊の御業は必ず成就する
マリヤから生まれた者は神の霊による神の御子イエス・キリストであり、彼こそ聖なるお方、神の御子、救い主でした。御使いガブリエルは、神の御心を語り、それは事実となったのです。なぜ、不可能としか思えないものが可能になるのですか。それは、聖霊が働いたからです。
聖霊は紛れもない事実として存在し、私たちに対して働きかけ、その働きは必ず成就するのです。聖霊がマリヤに働いたからこそ、神が人となるというありえない出来事が事実となったのです。
今日、この場所にも、聖霊の力が働いているのです。そして大切なことは、この聖霊の存在と働きかけと、御業の成就が、私たちにも大きな意味をもたらすということです。
使徒の働き1章8節に「聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、・・・地の果てにまで、わたしの証人となります。」とありますが、今日の聖書箇所と何となく似ていると思いませんか。
実はルカの福音書も、使徒の働きも、同じ著者による書物だと言われています。そして、このルカの福音書が第1部としてイエスの物語を記し、第2部として、使徒たち、初代教会の物語を記したとき、彼の心の中には同じテーマが働いていました。この地上に神の御業が実現し、乙女が身ごもり男の子を産み、神が人となるという不可能が可能になり、イエス・キリストを裏切って逃げた弟子たちがイエスのために殉教し、取るに足りない無学のただ人たちを通して世界の歴史の中に教会が誕生していくという不可能が可能になる。それは、聖霊によるものだといういことです。
不可能が可能になる原因は、神の霊が働くからです。イエスの御誕生に働いた聖霊が、弱かった弟子たちを勇者として全世界に送り出し、今ここにも、その同じ聖霊がご臨在下さっています。聖霊はあなたに働きかけイエスを伝えていきます。そして、聖霊の働きかけを受けるあなたは力を受け、人生の中で不可能が可能になっていくのです。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。