ですから、見なさい。これらのことが起こる日までは、あなたは、おしになって、ものが言えなくなります。私のことばを信じなかったからです。私のことばは、その時が来れば実現します。(ルカの福音書1章20節)
これは、天の御使いガブリエルが祭司であったザカリヤに現われて、男の子が与えられるという預言を語った言葉の最後の部分です。
聖書の中にイエス・キリストの誕生の物語が具体的に描かれているのは、マタイの福音書とルカの福音書の2つです。ルカの福音書では、羊飼いたちに対して天の御使いが告げるという物語、マタイの福音書では、東の国の博士たちが訪れる、お馴染みの物語が描かれています。
それぞれに味わいがありますが、イエス・キリストの降誕を伝える物語の流れに違いもあります。ルカの福音書の中では、祭司ザカリヤと彼の妻エリサベツにひとりの男の子が産まれるという約束が与えられる物語から始まっています。この子供は、後に洗礼のヨハネとして広く知られる人物になります。彼は、救い主キリストの到来のための道備えをする者として、人々の心が救い主を迎えるにふさわしく悔い改めるよう荒野で叫ぶ者となるのです。
この物語は、全く予想もしていない人の所にいきなり天の御使いが現われて、神の言葉を語り、「男の子が産まれる」という約束を与え、その言葉を与えられた人物は恐れおののき、とうていそんなことが起こるとは考えられないといろいろと理由を言います。この後、マリヤに起こる物語と似ていると思いませんか。ひとりは預言者ヨハネで、もうひとりは御子イエス・キリスト、生まれてくる命には確かに大きな差はありますが、どちらも話の筋は非常に似ているのです。
それは、この後に展開するイエス・キリスト誕生を受け入れることができるようにと、私たちに対して心備えをさせるためなのです。
1.実現する前から信じる
あなたは、一見、プレゼントとは思えない恵みを、その種(たね)の段階から感謝して受け入れることができますか。
マリヤの所に同じ御使いガブリエルが来て、神の聖霊により御子イエス・キリストを宿すと告げます。マリヤはすぐにそれを信じられませんでしたが、信じられないのはマリヤだけではなく、理屈っぽい私たちも同じかもしれません。そんな私たちが、救い主イエス・キリストの到来を信じることができるように、その準備としてこの物語は描かれています。
さあ、クリスマスの季節の始まりです。神の御手は動き始めました。天の御使いは既に私たちの所に来て語り始めています。聖霊は私たちの心の中に語りかけておられます。この神の御言葉を聞いて信じようではありませんか。
2009年のクリスマスの日々を通して神の恵みは起こり始めています。私もあなたも準備をしたい。神のお言葉を信じたいのです。
ここで御使いは言いました。「私のことばは、その時が来れば実現します。」御使いのことば、それはすなわち神の御言葉です。神の御言葉は時が来れば実現します。物事が前書きの段階から、神の言葉は時が来ると必ず実現すると私たちは信じたいのです。
2.神の言葉の偉大さを知る
どうしてザカリヤは口がきけなくなったのでしょうか。それは、神の御言葉を信じることが、それほど重大だからです。神の御言葉は、私たちの発する言葉とは訳が違うのです。神の言葉を信じないというのはそれほど重大なことであると教えるために、神は、御言葉を信じなかったザカリヤが言葉を喋ることができないようにされたのです。でも、神は愛に満ちたお方で、期限を付けられ、それが実現したときには、彼を元通りに癒して下さったのです。
何が問題でしたか。それは、ことが起こる前に神のお言葉を信じることができるかどうかということです。
この2つのことを心の中に刻みつけておきたいのです。
私たちは、クリスマスイブやクリスマスになって、いきなり慌てて、神からの私の恵みは、と言うのではなく、小さな種のうちから神の御言葉を信じたいのです。それが実現する前から信じましょう。
そして、神が、信じなかったザカリヤの言葉を一時的に奪われたほどに、神の御言葉は重大なものであることを知りたいのです。それが私たちの人生にもたらす恵みは、とてつもなく大きいのです。神の言葉は時が来れば実現します。神があなたに語っておられるその御言葉を大切にして下さい。それは必ず実現します。私たちはひとりひとり、この神の御言葉をしっかりと受け止めたいと思います。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。