新宿から一駅のJR大久保駅すぐ近くに、一際目立つ大きな教会がある。中田重治や小原十三司など、日本のホーリネス教会を導いた指導者が牧会し、常にホーリネス教会の歴史で中心的な役割を果たしてきた淀橋教会(峯野龍弘主管牧師)だ。超教派の集会会場としても多く利用され、同教会外の人々にも馴染みのある教会かもしれない。クリスマスには、大きな礼拝堂を生かしたメサイア礼拝やキャンドル・サービス(燭火礼拝)などを行うが、どの教会でもできる取り組みも数多く行っている。人々を教会に最も誘いやすい時期クリスマスに、淀橋教会ではどのような取り組みを行っているのか、同教会副牧師の中村和司氏に話を聞いた。
淀橋教会のインマヌエル礼拝堂は1300人収容可能と、日本のプロテスタント教会では最大規模の広さ。10年前に現在の新会堂を建築してからは、メサイア礼拝、キャンドル・サービス、イブ・コンサートをクリスマスの3本柱として行っている。各集会で語られるメッセージにはシリーズ性があり、今年はそれぞれ「憎しみと争いよ、さようなら!」「愛と平和よ、こんばんは!」「安息と希望よ、またあした!」と題して同教会主管牧師の峯野氏が語る。
3つのなかで最も参加者が多いのは、クリスマス・イブ(12月24日)午後7時から行うキャンドル・サービス。ここ4年間は毎年参加者が増加しており、昨年は新会堂建設後最多の約750人が参加。今年は1千人を目指している。
■ 1人が3人を導く「愛の1対3運動」
しかし、淀橋教会の主日礼拝参加者は現在平均で250〜300人程度(主日全体で300〜350人)。目標までは3〜4倍程度の開きがある。そこで今年取り組みを始めたのが「愛の1対3運動」だ。2千人礼拝を目指して今年から始まった同運動は教会員1人が、まだ救われていない家族や知人、友人など3人以上を教会に導こうというもの。クリスマスでも、この「1人が3人を」という取り組みを行い、1千人を目指している。
一方、これら3つの集会は教会挙げての取り組みだが、教会の年代別グループがそれぞれ行うクリスマス会もある。淀橋教会では計6つの年代、性別で分けたグループがあり、日曜学校「アガペー・ファミリー」主催のものも入れると、12月は様々なクリスマス会が行われる。なかでも、女性のグループが協力して行う「女性クリスマス」は毎年恒例の会で、200人近くが集まる。女性クリスマスは12月の比較的早い時期に行われ、会で飾られた装飾はそのまま残されるため、その後教会は本格的なクリスマス色になる。
■ クリスマス前に効果的な野外PR
昨年からでは、普段とは違った趣の礼拝を主に野外を中心に行う「オープン礼拝」を取り入れている。オープン礼拝はラブ・ソナタやCGNTVなどの働きで注目を集める韓国オンヌリ教会が行っている取り組みの一つからヒントを得て、教会の外で、普段の形式にとらわれない開かれた礼拝を提供しようとするものだ。
今年は最後のオープン礼拝がクリスマス直前の日曜日12月20日に行われる。ここでは、壮年男性が主体となってクリスマスにちなんだ劇を行う。教会前の広場で、気温が下がる12月中に行う野外イベントとなるが、集会時間を普段よりも短くし、2回に分けて行うなど工夫する。このクリスマス前の野外でのイベントが、24日のキャンドル・サービス、イブ・コンサートを知らせるのに効果的だという。
昔は駅の近くなどでクリスマス・キャロルを歌うこともしたが、こうしたクリスマス前の野外での催しは、その地域に教会があること、また教会でクリスマスの礼拝があることを印象的に知らせることができるようだ。中村氏はクリスマスに限らず人々に知らせるためには、「実際に声を掛けてあげること、呼び込みをすることが大切」と話している。
教会前に設置するクリスマス・ツリーも地域にクリスマスを知らせる一つの役割を果たしおり、通りを行きかう人が足を止め写真撮影をしていく。教会近くの家々にはクリスマスのチラシを教会員が直接配り、少し離れた地域には新聞の折込広告を行う予定。昨年からはクリスマス専用のウェブサイトを立ち上げ、一定の効果を出している。
■ 招待状でフォローアップしやすく
このほか、一度教会へ来た人々をクリスマスに招待することも欠かさない。淀橋教会では特にイースターと、夏の伝道集会「サマー・イブニング・クルセード」、クリスマスの3つの時期には、特別に招待状を用意する。来会するとき招待状を持参してもらうようにすることで、誰が来たのか把握するのに便利で、フォローアップもしやすい。
■ 教会だからこそできる聖なるクリスマスを
様々な工夫はあるが、クリスマスはイエス・キリストの誕生を祝う時。「世はお金をかけるので、派手やかさでは負けてしまうかもしれない。しかし、教会だからこそできる清らかなクリスマス、本当に意味のあるクリスマスというものを前面に出せればよいのではないか」と中村氏。クリスマスを祝い、その意味を伝えるという教会の本来の姿に様々な取り組みの原点があると語った。