4世紀に作成された世界最古の聖書のひとつである「シナイ写本」の新旧約部分合わせて約800ページが6日から、インターネットで無料公開された。時事通信が伝えた。
インターネットでの写本公開プロジェクトは、所有する英国、ドイツ、エジプト、ロシアの4カ国の研究機関が4年間にわたって進めてきた共同事業で、すでに昨年から一部が公開されていた。インターネットでは、写本そのものの高解像度画像とともに、ギリシア語のテキストデータ、英語など4カ国語の翻訳データを同時に閲覧できる。
各国に分散していた写本が統合され、インターネットで誰もが無料で閲覧できるようになったことから、今後さらに研究が進むことが期待されている。
大英博物館西洋写本部のスコット・マケンドリック部長は、写本が「初期キリスト教の発展を知る手掛かりや、聖書のテキストが世代から世代にどのように受け渡されたかの直接的な証拠を提供する」(時事)と語り、最も古い聖書としての重要性を強調した。
330年から360年の間に書かれたと考えられている「シナイ写本」は、1844年にシナイ山の聖カタリナ修道院でドイツの聖書学者コンスタンティン・フォン・ティッシェンドルフによって発見された。「バチカン写本」(4世紀)、「アレクサンドリア写本」(5世紀前半)とともに「三大ギリシャ語聖書」とされ、現存する世界最古の聖書一つである。
これまでに発見されたものはテキストの一部、あるいはページ自体が欠損している部分があるが、専門の研究者によれば、元々は1460ページから成る、縦40センチ、横35センチの大きさだとされている。
発見後にはロシア皇帝に献上されたが、ロシア革命後の1930年代、旧ソ連のスターリン書記長によって英国に売却され、現在はその大部分が大英博物館で保管されている。また、40ページ分ほどはドイツのライプチヒ大学が所蔵しており、さらに1970年代には聖カタリナ修道院で別のページが新たに発見され、現在4カ国に分散して保管されている。
シナイ写本の公開サイト「Codex Sinaiticus」は、http://www.codexsinaiticus.org