イエス・キリストの復活を祝うイースター(復活節)を前に、プロテスタントやローマ・カトリックなどの西方教会は、受難節最後の一週間となる受難週を迎えた。受難週は、イエス・キリストのエルサレム入城、最後の晩餐、裁判など、十字架に至る主イエスの苦しみを覚える特別な期間。5日は主イエスが子ロバに乗ってエルサレムに入城した日を記念する棕櫚(しゅろ)の聖日で、各地の教会で記念の礼拝や集会が行われた。
1890年の誕生以来、東京・銀座の街に礼拝堂を構える日本基督教団銀座教会は5日、バッハのマタイ受難曲の演奏による「受難週音楽礼拝」を開催。大礼拝堂を埋め尽くした会衆は荘厳な雰囲気の中、演奏と聖書の朗読で主イエスの十字架の道をたどり、その受難の意味を黙想した。
イースターは、クリスマスとペンテコステに並ぶキリスト教三大行事の一つであり、その中でも最大の祭り。春分の後、最初の満月(ニサンの月)の次の日曜日に祝うため、イースターの日付は毎年変わる。これは当時のユダヤの暦が太陰暦に基づいていたことによる。今年のイースターは、西方教会では4月12日、正教会などの東方教会では4月19日となっている。
さらに西方教会では、イースターの前の6つの日曜日を除く40日間をレント(受難節=四旬節)と呼び、主イエスの十字架をしのび、悔い改めをする期間としている。これはキリストが荒野で40日間断食し、祈りをささげたことなどに由来する。レントの最初の日は「灰の水曜日」と呼ばれ、カトリック教会では信者たちが額に灰のしるしを受ける。
棕櫚の聖日を迎え、レント最後の一週間である受難週に入ると、その週の木曜日は主イエスが最後の晩餐で弟子たちの足を洗ったことを記念する「洗足木曜日」。この日に聖餐式や洗足の儀式を中心とした礼拝や特別集会を開く教会も多い。そして金曜日は、主イエスが十字架にかかった「受難日」。主イエスが息を引き取ったとされる午後3時に合わせて礼拝が行われるほか、エルサレムでは主イエスが十字架を背負って歩いた処刑場までの道(ヴィアドロロサ)を十字架が行進する。