毎年1月18日から25日までの1週間は、世界的に「キリスト教一致週間」として、教派・教団を超えたキリスト教会の一致のために祈る期間となっているが、英国の教会指導者らは、教会一致のための道のりは依然として課題が多く、その見通しが不透明だと否定的な見解を示した。
英国国教会系の週刊紙「チャーチ・タイムズ」と英国のバプテスト系週刊紙「バプテスト・タイムズ」などによれば、英国国教会(聖公会)や英国バプテスト連合、英国メソジスト教会、ローマ・カトリック教会、合同改革教会など英国の諸教会の代表らは、キリスト教会の一致を目指す週間ではあるが、一致に向けた国レベルでの熱意が不足していると指摘した。
英国国教会の最高指導者であるローワン・ウィリアムズ・カンタベリー大主教は、「依然として草の根レベルでは教会一致に向けて大きな熱意があり、またそれを妨げる教派構造があるなか、一致に向けて切望する声がかなりある」と語った。しかし、「教会の一致において、『協議』と呼べるようなものに対する強い関心を見出すことはできない。共通した(信仰の)証しに対する関心や、礼拝の共有に対する開かれた姿勢はあるが、(教会の)公的機関の対話に向けた鋭さは十分ではない」と指摘した。さらに、教団などの教会機関と、地方の各教会にある一致に向けた情熱の間に大きなギャップがあると語った。
また、イングランド、ウェールズのローマ・カトリック教会を代表するコーマック・マフィーオコナー枢機卿は、教会一致に向けた公約が増えるなか、一致に向けた進展は減速していると語った。英国メソジスト教会のマーティン・アトキンス総幹事も、「それ自体が目的となっている一致に向けた情熱にかげりがある」と語った。
英国バプテスト連合のジョナサン・エドワーズ総幹事は、教会一致運動の現状に対して不満を示し、「我々は、すでに与えられているもので最善を尽くすべきだ」「現代の教会が持つ従来からの分裂は、痛みでありまた時間の喪失であり、また根本的に福音からそれてしまうものだ」と語った。
教会の指導者らはこのように、教団・教派レベルでの一致へ向けた取り組みは依然として多くの課題があり、実現にはまだ大きな距離があるとしながらも、地方の教会レベルでは一致へ向けた前進があることを指摘した。
合同改革教会のロバータ・ロミンガー総幹事は、「目的と行動において協力関係」があると語り、アトキンス総幹事(英国メソジスト教会)も地域社会レベルのプロジェクトでは「エキュメニカルに焦点を当てた行動には非常に大きな熱意」があるとし、「特に社会正義に関する問題で共同の声を上げることにおいて(教会一致に向けた熱意が)強い」と語った。ウィリアムズ主教も、教会一致において最も前進があるのは「教区レベル」であると指摘した。
キリスト教一致祈祷週間は、「アトンメントのフランシスコ会」創設者であるポール・ワトソン神父が1908年に提案したもので昨年ちょうど100年目を迎えた運動。北半球の教会では伝統的に毎年1月18日から25日に期間が当てられる。毎年、当番国の起草委員会が祈祷のための資料の原案を作成し、世界教会協議会(WCC)と教皇庁キリスト教一致推進評議会が共同で資料を発行するなどしている。
日本でも日本キリスト教協議会(NCC)とカトリック中央協議会が同祈祷週間への参加を呼びかけており、今年は期間中、約20の集会が予定されている。