25日、旧約聖書に預言されているメシア(救世主)として来られたイエス・キリストの誕生を祝うクリスマス(降誕祭)を迎えた。クリスマス前夜となる24日夜から25日明方までには、世界各国の教会でクリスマス礼拝が行われ、多くの人々がキリストの誕生を祝う。
今年は中国で華やかなオリンピックが開催され世界の注目を集めるなどしたが、5月にはミャンマーのサイクロン、中国四川省の大地震と大規模な自然災害が相次ぎ多数の死者が発生した。また年末には世界的な恐慌が深刻化するというような「暗闇」のなかで、このクリスマスは「人の光であった」(ヨハネ1:4)と証されるキリストに希望をおいて礼拝に参加する人々も多いかもしれない。
キリスト教で用いられる教会暦はユダヤ暦を継承したものとなっているため、日没が日付の変わり目となる。そのため、クリスマスは24日の日没後から始まり、多くの教会ではクリスマス・イヴ(クリスマスの夜=24日日没後から25日明方まで)に礼拝が行われる。
日本でも各地の教会で、「きよしこの夜」「諸人こぞりて」「荒野の果てに」などの賛美を歌いつつ礼拝が捧げられた。日本最大規模の会堂を持つ東京・新宿の淀橋教会では24日夜7時からキャンドル・サービス(燭火礼拝)が行われ、ろうそくの灯りに包まれた会堂は満席。同教会の峯野龍弘牧師はイザヤ書35章5〜7節を引用し、クリスマスのメッセージを語った。クリスマスを教会で過ごしたいと初めて礼拝に参加した人も多数おり、礼拝最後にはみんなで「メリー・クリスマス」「クリスマスおめでとう」と祝った。
カトリックでは、25日午前0時からの夜半を初め、早朝、日中と3回のミサが行われる。バチカンのサンピエトロ大聖堂で行われる夜半のミサでは、教皇ベネディクト16世がミサを司式。25日正午には再び教皇がクリスマスのメッセージを語り、全世界に向けた祝福「ウルビ・エト・オルビ」を贈る。
日本でも「年中行事」の一つとして定着しているクリスマスではあるが、普及し始めたのは明治に入ってから。日本で初めてクリスマスが祝われたのは1552年に宣教師たちが日本人信徒とともにミサを捧げたことだとされているが、当時は幕府の弾圧などでまったく受け入れられることはなかった。一方、クリスマスが行事としては定着したものの、本来の意味を失い商用化が進むことに対しては懸念が強い。
プロテスタントやカトリックを含む多く教会ではクリスマスは12月25日だが、ロシア正教会などユリウス暦を用いる一部の正教会では1月7日がクリスマス。また、「ホワイトクリスマス」と冬のイメージが強いクリスマスではあるが、南半球では真夏のクリスマス。環境や文化、言語、暦などで様々な違いはあるが、この時期、世界各地でキリストの誕生が祝われる。