キリストは、神の御姿であられる方なのに、神のあり方を捨てることができないとは考えないで、ご自分を無にして、仕える者の姿をとり、人間と同じようになられたのです。キリストは人としての性質をもって現われ、自分を卑しくし、死にまで従い、実に十字架の死にまでも従われたのです。・・・(ピリピ人への手紙2章6節〜11節)
この1年の終わりを迎えて、心が外側に向かって開かれているか、自分の小さな世界に閉じこもっていないか、確認しましょう。私たちは、他人へのアドバイスならいくらでも偉そうな口をたたきますが、自分自身が果たしてそれを行なえるかというと、はなはだ疑問です。
フィギュアスケートの浅田真央選手が大会で優勝して、久しぶりにスカッとした笑顔を見ました。成長期ですから、身長も伸び体形も変わり、子供のときにはできたことが同じようにできなくなっているのでしょう。本人の中で大変な戦いだと思いますが、さすが一流のアスリート、3回転半ジャンプにも果敢に挑戦し成功させ、さらに大きな目標に向けて成長していこうとしています。
私たちもそんな可能性と力に溢れる生き方を自分のものにすることができるのです。なぜなら、神ご自身が不可能と呼ばれるものに対して挑戦される神だからです。もちろん、神にはどんなことでもできます。でも、実は神だからこそ、不可能と思える事柄にも、神ご自身が挑戦しているのです。
1.神としての在り方を捨てられた
神は、神としての在り方を捨てることができないとは考えられませんでした。心の汚れた鈍い汚い人間のために、ご自分のメッセージを最も伝えやすい方法として、私たちと同じ人となることに神は挑戦されました。
それは簡単なことではありません。
神は霊であり、永遠の命、滅びることのない性質を持ち、全てが可能で時間や空間にも制限されない方です。しかし、神はご自身を限定されて、私たちの住む3次元の世界にイエス・キリストとして来て下さいました。
神ご自身の在り方を捨てることさえできると、神が不可能に挑戦して下さったのです。
これから一生、あなたは這いつくばって生きなければいけないとしたら皆さんどう思いますか?当たり前にできることを自制するのは難しいことです。
神が人となることは、神だからこそ、そのような小さな者に限定されることが不可能なのです。でも、神はそれをなして下さいました。神の在り方を捨てて下さったのです。
2.仕える者の姿をとられた
神は人々から仕えられ、褒め称えられ、あがめられるのが当然なのに、逆に仕える奴隷としての姿をとって下さいました。
考えてみて下さい。あなたがお世話をしているペットに、明日からあなたがお世話してもらわなければいけないとしたらどうですか?そんな弱い存在に、自分をおとしめることができるでしょうか。
永遠の命と、無から有を生み出す偉大な力を持ち、人から褒め称えられて当然の神が、人に仕える奴隷としての姿をとられたのです。ここでも神は、不可能に挑戦して下さいました。
3.十字架の死まで受け止められた
命の創り主であり、命そのものである神にとって、死ぬことだけはできないはずでした。しかし神は、御子イエス・キリストのお姿によって十字架の死にまで従って下さったのです。
醜くて愚かな人間は、死ななければ、古い自分の生き方や考え方、自己中心的な生き方を捨てることができないと知っておられました。それで、私たちの罪を代わりに背負い、私たちのために死ぬことを選ばれました。命そのものである神が、死を選んで下さったのです。
神の在り方を捨て、仕える者の姿をとり、死を選ばれた。まさに神ご自身が不可能への挑戦をされたのでした。
イエス・キリストは、私たちと共に歩み、共に生き、そして私たちの罪まで背負い、私たちの呪われた人生まで背負って下さり、私たちのために死んで、ご自分の命を私たちに与えるために来て下さいました。
だから弱い私たちでも救われます。私たちの小さな枠を私たちのために破って下さる愛の神が共におられることを感謝しましょう。
最初から完璧な人間にはなれません。しかし、神によって愛されて、愛することや赦すことを、ひとつまたひとつとできるようになります。私たちは、可能性に溢れた本当の生き方へと新しい歩みを始めていくことができます。神は私たちを祝福し、支え、導き、それを実現して下さいます。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。