南米のエクアドルで28日、憲法改正案の是非を問う国民投票が実施され、約64%の賛成票が得られ承認された。改正案では大統領権限や国家による資源管理の強化が盛り込まれており、左派のラファエル・コレア大統領は昨年1月の就任以来、新憲法制定を最大の公約に掲げていた。一方、カトリック教会は同案が妊娠中絶と同性結婚の合法化につながる内容を盛り込んでいるとして批判している。
新憲法では、中央銀行の独立性を廃止して金融政策の権限が行政府に移行されるほか、大統領の2期連続再選(1期4年)を可能とし、議会解散権、選挙の前倒しなど大統領の権限が強化される。また、主産業である石油の収益の半分以上を国家が吸い上げ、貧困層への再分配を行うという。
信徒が人口の大半を占め、国内で大きな影響力を持つカトリック教会は、新憲法が妊娠中絶と同性結婚を合法とする内容を含むとして批判している。また、反対する野党側も、新憲法は政府の集権化を招くと指摘。同様の形態の政府が機能しないことはすでに証明されているなどと非難している。
国民投票では混乱を防ぐため、全国に警官約6万人が配置され、アルコール飲料の販売も26日から29日の間は禁止された。南米のベネズエラやボリビアなど反米左派政権では近年、権力集中と社会主義的色彩の強い政策を進める動きが強まっているが、承認が確実となったのは今回が初めてとなる。