米国で、その大半を占めるプロテスタントの人口が減少傾向にあり、若者を中心に宗教離れが進んでいることが、米国の調査機関「宗教と国民生活に関するピュー・フォーラム」による意識調査で明らかになった。調査結果は25日に発表され、プロテスタント人口の減少について、国民の宗教離れの影響と共に、年々増加する移民の影響が大きいと分析している。
調査は全米の18歳以上の成人、約3万5000人を対象に行われた。米国の主流を占めるプロテスタントは全体の51.3%で、1960年代の調査時から約3分の2にまで減少した。一方、特定の宗教を信仰していないとする人は16.1%で、18〜29歳の若者では4人に1人という高い割合になった。
プロテスタント人口減少の最も大きな要因は、米国における移民の増加にあると見られている。調査を行った同団体理事長のルイス・ルゴ氏は、「プロテスタントが減っているのではなく、白人人口が減ってラティーノ(中南米系)が増え続けているからだ」(AFP通信)と説明する。
今回の調査を行った同団体の上層関連機関であるピュー・リサーチ・センターは今月中旬、2050年までに中南米系のヒスパニック人口が現在の14%から29%にまで上昇し、一方白人は67%から47%に低下するという予測を発表している。ルゴ氏によれば、移民の7割以上がカトリック信徒だという。
このようなプロテスタント人口の減少は、米国の文化、政治にも影響を及ぼすことが予想されている。すでに移民の増加が国内人口の増加を支えるほどになっている英国では、イスラム教徒の移民も増加し、その影響が見られ始めている。今月上旬には英国国教会(聖公会)のローワン・ウィリアムズ・カンタベリー大主教によるイスラム法に関する発言が問題視され、大きな論争にまで発展した。
一方、若者を中心として宗教離れも進んでいる。特定の宗教を信仰していないとする16.1%のうち、12.1%は自身の宗教について「特になし」と答えた。しかし、この12.1%のうち、人生において宗教が重要ではないと答えた人は6.3%で、他は人生において宗教を重要または非常に重要としており、特定の宗教を信じないまでも、その半数は宗教の重要性を認めているという結果となった。
また、育った家庭で信仰していた宗教から別の宗教に変わったり、特定の宗教を信仰しなくなったとする人は28%を超え、宗教観の変化も著しいことが明らかになった。同じ宗教における教派間の変更なども含めれば、実に44%が何らかの形で自らの信仰に変化があったとしている。
今回の調査では、プロテスタントが51.3%で最も高く、次いでカトリックが23.9%、ユダヤ教、モルモン教が各1.7%、仏教が0.7%、イスラム教が0.6%などであった。また、「神はいない」とする無神論者は1.6%、「神などの存在を認識することは不可能」とする不可知論者は2.4%であった。