そのとき、イエスはこう言われた。「天地の主であられる父よ。あなたをほめたたえます。これらのことを、賢い者や知恵のある者には隠して、幼子たちに現わしてくださいました。そうです、父よ。これがみこころにかなったことでした。すべてのものが、わたしの父から、わたしに渡されています。それで、父のほかには、子を知る者がなく、子と、子が父を知らせようと心に定めた人のほかは、だれも父を知る者がありません。(マタイの福音書11章25節〜27節)
イエスによって選ばれて、父なる神との出会いを与えられていることを心から感謝します。私たちはどんなに小さく、また弱く感じることがあっても、神の恵みは無限大、無尽蔵に豊かに与えられます。
女優の三田佳子さんの次男が、覚醒剤で3度目の逮捕というニュースを聞きました。子どものときから何不自由なく育ち、どこへ行っても周りからちやほやされ、小遣は月30万円。どう考えても過保護で、甘やかし過ぎです。精一杯だという親の気持ちは分かります。しかし、3度も数百万円の保釈金を払うのは、愛の注ぎ方が間違っています。物質的に豊かでも子どもは真っ直ぐに育ちません。一見、人も羨(うらや)む人生が、必ずしも幸せではないことの象徴です。
世の中の尺度で言えば、弱さや小ささは、通常不幸せの種でしょう。しかし、神の御前では、決して悲しむべき条件ではありません。神の恵みは、世の中の一般的に立派だという人々には隠されていて、世から見放された、自分はダメだ足りない小さい者だと思わされる者たちに現わされるのです。これが神の恵みの逆説的な法則です。
1.イエスに選び出された小さき者
天の父なる神のことを本当に分かっているのは、御子イエスと、イエスが神を伝えようと心に定めた人たちだけなのです。(11:27)
世の中には、自分が神であるかのように高ぶったことを言う人がいますが、私たちは、神を知らせることをイエスが心に定めた人々であって、主イエスによって選び出された者たちであることを感謝したいと思います。宝くじに当たったとか、たまたま選ばれたのではありません。
来年の5月ごろからは裁判員制度が始まりますが、その裁判員は、コンピュータが一般の人の中からランダムに選ぶので何の理由もありません。ところがクリスチャンである私たちは、御子なるイエス・キリストが神を知らせようと心に定め選び出した一人一人なのです。
私たちは選ばれた小さな者であるということを感謝したいと思います。
2.主の家族である小さき者
イエスが伝道しておられるときに、イエスの母と兄弟たちがイエスに会いにやって来ました。イエスの周りはたくさんの人だかりで、簡単には近づけない状況もありましたが、イエスの母、兄弟姉妹だというと特別扱いのはずです。有名人のコンサートで、どんなに熱狂的なファンでも行けない楽屋に、身内やコネがあると通してもらえるのと同様です。
しかし、イエスは言われます。「・・・イエスは手を弟子たちのほうに差し伸べて言われた。『見なさい。わたしの母、わたしの兄弟たちです。天におられるわたしの父のみこころを行なう者はだれでも、わたしの兄弟、姉妹、また母なのです。』」(マタイ12:48〜50参照)
私たちは幼子で頼りない者ですが、主の家族の一員なのです。ということは、最もプライベートな深いところを分かち合うことができるということです。ですから私たちクリスチャンは癒しを祈るときも、お客さんや招待客ではなく、神の持っている一番深い恵みを親密に分かち合うことのできる家族の一員であることを喜びましょう。
3.神の前にへりくだる
イエスは小さい子どもを呼び寄せ、・・・言われた。「・・・ だから、この子どものように、自分を低くする者が、天の御国で一番偉い人です。(マタイ18:3、4)
サラリーマン川柳に「社長業 今や問われる 謝罪力」というのがありました。最近では、主義主張をはっきり言うのは当然ですが、クレーマーと呼ばれる、何かにつけて行き過ぎた苦情を言う人々が増えていて、企業へのクレームは10年前の10倍以上だそうです。
主の恵みは特別な資格やお金、特別に任命された者に与えられるのではありません。霊的な重力の法則は、高いところから低いところへ流れます。世の中の単に強さ一辺倒の攻撃的な生き方ではなく、神の御前にはへりくだる謙虚さ、柔らかな心を与えられたいと思います。そうすれば、恵みは天から自然と私たちの所に流れてくるのです。
主が御許(みもと)に召してくださるのは、小さき者たちです。主に愛される小さき者として、恵みをいただきましょう。
私たちは神に選ばれた者であり、神の家族としての特別な立場を与えられた者です。その私たちが、主の御前にへりくだる時、神の恵みは私たちの所に流れ込みます。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。