長崎県は27日、ニュージーランドのクライストチャーチで行われている国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会で、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」が正式に世界遺産暫定一覧に登録されたことを発表した。世界遺産登録に向けて確実な前進となる。
同県の発表によると、今月23日から来月2日まで開催されている同委員会で現地時間の27日、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」が世界遺産暫定一覧に登録された。長崎の教会群は1月30日に、日本の国内候補としてユネスコの世界遺産暫定一覧表への登録が申請されており、今回それが正式に認められた形。暫定一覧表への登録は、各国政府の申請通りになるのが通例。登録日は、登録申請が同委員会事務局(ユネスコ世界遺産センター)に受理された1月30日となる。
今後、世界遺産登録に向けて必要となる作業は、遺産の価値感を確実に証明するための調査や、遺産周辺への緩衝地帯(バッファゾーン)設置、保管管理計画の作成、ユネスコへ提出するための正式な推薦状の作成などがある。その上で、国際記念物遺跡会議(ICOMOS、イコモス)による2年間にわたる専門的な調査、審査が行われ、その結果を踏まえ毎年夏開催される同委員会年次会議で審議。認められれば、晴れて世界遺産となる。
現在、国内で世界遺産として認められているものは、文化・自然遺産を合わせて13件。暫定一覧に登録されてから早いものでは4年で世界遺産として登録されている。一方、国内で世界遺産として認められているもので世界遺産登録まで最も時間がかかったのは、2年前に世界遺産となった北海道の「知床」で、暫定一覧登録から16年かかっている。「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」のほかに日本の暫定一覧登録物件は9件で、長崎の教会群と同じく今年に暫定一覧入りした「富士山」(静岡・山梨県)、「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬)などがある。
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」には、国宝の大浦天主堂(長崎市)や重要文化財の黒島天主堂(佐世保市)などを含む同県の20の教会や史跡が登録されている。今後の調査によれば、熊本県内の教会や史跡も構成資産として追加される可能性もある。