日本における難民問題を多くの若者に知ってもらおうと、アムネスティ・インターナショナル日本(理事長:搆美佳)の難民チームが主催する「日本の難民を考えよう!難民EXPO’07」が17日、東京・渋谷の青山学院大学で開催された。難民問題に取り組む諸団体の関係者や学生を中心に100人以上が参加。日本で暮らす難民3人よる体験談、日本国内外の難民救援活動に従事する山村淳平氏による講演「日本の難民・世界の難民」などが行われ、日本の難民受け入れに対する課題を中心に話し合われた。
企画には、カトリック国際東京センター(CTIC)、難民・移住労働者問題キリスト教連絡会(難キ連)、日本キリスト教協議会(NCC)などキリスト教諸団体も賛同団体として協力。その他、難民問題に取り組む団体が多数協力し、関心のある学生も企画・運営に積極的に参加した。
初めに、青山学院大学名誉教授の雨宮剛氏が挨拶。難民問題が長期的な活動を必要とする問題であるとし、今回、未来を担う若者が多く参加していることを歓迎。「まずはこの問題を知り、そして伝えてください」と呼びかけた。また、クルド難民家族との出会いをきっかけに始めた自らの活動や、メソジスト派の流れを汲む同大の建学精神についても説明。キリストの福音と、それに基づく社会奉仕の必要性を訴えたジョン・ウェスレーに習う愛の実践を語った。
国連難民高等弁務官事務所(以下UNHCR)の06年度の調査によると、迫害や戦争などによって故郷を追われた難民は世界で920万人に達するとされている。講演で山村氏は、1981年に難民条約を批准し、難民庇護国として責任を果たすべき立場にある日本で、難民申請者認定数が最高でも年間46人(05年)と非常に少ないことを指摘。同年2万2千人以上の難民を受け入れているフランスと比較した。日本の難民認定制度の問題点として、高水準の立証が必要、通訳制度の未整備、審査過程の不透明性などを挙げた。また、日本政府に難民受け入れを強く求めないUNCHRに対しても問題点があると指摘した。
また、これまで難民の人々と対話を繰り返してきた大学生らが、日本で暮らす難民3人にQ&Aの形式で体験談を聞いた。難民の人々は、祖国の事情や、祖国を離れた理由、日本における生活の実態や、日本で受けた精神的な苦痛などを語った。参加者らは、日本で難民として生活する人々の声に注意深く耳を傾けていた。
20日は「世界難民の日(World Refugee Day)」である。元々はアフリカ統一機構(OAU)難民条約の発効を記念する「アフリカ難民の日(Africa Refugee Day)」であったが、難民保護に対する世界的な関心を高め、難民問題に取り組む各団体の活動理解と支援を深めるために、00年の国連総会で定められた。今回の企画も世界難民の日に合わせて行われたもの。この他、国内でも多数の難民問題に関する企画が予定されている。各イベントは、UNCHRのホームページ内(http://www.japanforunhcr.org/event/w_event2007.html)で閲覧可能。