五旬節の日になって、みなが一つ所に集まっていた。すると突然、天から、激しい風が吹いて来るような響きが起こり、彼らのいた家全体に響き渡った。また、炎のような分かれた舌が現われて、ひとりひとりの上にとどまった。すると、みなが聖霊に満たされ、御霊が話させてくださるとおりに、他国のことばで話しだした。…(使徒の働き2章1-13節参照)
クリスチャンである私たちには、新しい生き方があります。その一つは、私たちが幸せを皆で一緒に体験していくことです。世の中には、他人を騙し出し抜いてでも、自分だけが幸せに、お金持ちになろうという醜い人生哲学がはびこっています。しかし、クリスチャンは、神から与えられる祝福を私たちが共に分かち合うことができるのです。先日話題になった6億円が当たるというサッカーくじのように、特定の運の良い人だけが恵まれるのではありません。
神様はここにおられます。この礼拝の中におられ、皆が祝福されるのです。それは私たちのがんばりや信心の力によるのではありません。神自らが主導権を握ってくださって、聖霊の働きをもって私たちを導いて力強く働いてくださるのです。だからすばらしいのです。神様の主導権に私たちを委ねて、聖霊の恵みに満たされましょう。
先週は、95歳で天寿を全うし、天に召された大原尚子姉妹は、神様を畏(おそ)れ「神のみ前に侍(はべ)りたい」「聖書を拝読させていただく」との謙虚な姿勢で信仰生活を歩んでおられたとご家族のお証しをお聞きしました。私たちは豊かになりましたが、その豊かさを履き違え、命を与えてくださった神様にまでわがままを言い放題になってしまってはなりません。謙(へりくだ)って神様の恵みをいただく者となりましょう。
5月27日は教会暦(きょうかいれき)ではペンテコステの聖日です。イースター(復活節)から50日経ったときのまつりが、ペンテコステ(五旬節(ごじゅんせつ))です。この日、神の聖霊が弟子たちの上に注がれ、新しい命に満たされたのです。それ以来教会では、イースターから7週経った日曜日を祝っているのです。
もしも聖霊が降(くだ)らなければ、どうなっていたでしょう。
1.信仰は特別な個人のものに留まった
「みなが聖霊に満たされ」とあるとおり、人間的な功績や区別に関係なく、聖霊は皆の上に注がれたのです。それにより、私たちは皆で祝福され恵まれ救いの喜びを受け、癒しや奇跡さえ体験できるようになったのです。
2.私たちの信仰は知識や理屈に終わった
聖霊が注がれたことにより、信仰が明確なものとなり、人生を変える大きな力となったのです。それまでの信仰は、旧約聖書の知識や理解の深さによるものでした。しかし、聖霊が降ったことにより、聖書の中のキリストの救いが、だれにでも具体的事実として受け止めることができ、人生そのものを変える事実としての恵みとなったのです。
3.今でもユダヤ教の中だけにとどまっていた
聖霊が降らなければ、真の神を信じる信仰は、単なるユダヤ教の範囲で終わっていたでしょう。しかし、聖霊が降り他国の言葉で神の大きなみわざが語られてより、イエス・キリストの救いは全世界、全人類のものとなったのです。
4.信仰は自分の理解だけのものにとどまった
信仰は、人間的な正しさや理解、人間的な力の信仰に終わっていたでしょう。しかし、聖霊が降ったことにより、救い主イエス・キリストの恵みを皆で分かち合うことができるようになったのです。120人の弟子たち全員が変えられ、イエス・キリストの救いが全世界に伝えられ、世代を超えて伝えられていったのです。それにより、私たちはクリスチャンとなることができ、この礼拝にも出席できているのです。
聖霊は私たちを変え、病人を癒し、奇跡を行ってくださいます。聖書は神が生きて働いておられることを語っています。宇宙を造られた神がおられることを語っています。そのあまりにも偉大な神が、時間と空間の中に生きる私たちに最も理解できる形、イエス・キリストという人となってご自分を現してくださいました。
しかし、それは2000年前の限られた地域のことで、現代に生きる私たちには、まだまだ隔たりがあります。人となった主は、その場に共にいる人にしか分かりません。その制限を超えるために、十字架に架かり、3日目に甦って後、天に上げられ、五旬節に聖霊をもってご自身を現されたのです。主は、時間、空間を超え、人々に救いを与え、信じる者の人生を変える、聖霊なるもう一人の助け主をもってその神の恵みを私たちのものとしてくださったのです。
それが無ければ、イエス様の恵みは単なる過去の出来事で、私たちは悲しい罪びとのままでした。しかし今、聖霊なる神が私たちと共にいてくださいます。私たちは、イエス・キリストの救いをそのまま体験することができます。私たちは神の宮ですから、聖霊の働きに自分の人生を委ねましょう。あなたの祈りは、御霊なる神によって、御子イエス・キリストのところへ、さらに偉大な父なる神の元へ、三位一体なる神の元へ届きます。
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万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など、多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。