10日、11日の2日間にわたり、東京・永田町の星陵会館で「ビル・ウィルソン東京大会2007―逆境をはね返す大成功の法則―」が開催され、会場の収容定員人数を上回る400人以上が参加した。同大会でウィルソン師が伝えたメッセージのテーマは「変化(トランスフォーメーション)するための土台を整える」。ウィルソン師は大会中に「変化」するための4つの基礎について説き明かした。大会1日目の午後2時から行われた第2セミナーで同師は、「新しいリーダーシップ(指導力)」と「仕事の質の向上」について聖書の聖句と実体験を例に挙げながら解説した。
「変化」するための基礎として、ウィルソン師は2番目に「仕事の質の向上」を挙げた。私たちはどんなモチベーションをもって仕事(奉仕)をしているのか、その奉仕の意味と動機をはっきりさせなければならない。ウィルソン師はこのことを説明するために、ヨハネによる福音書21章15〜17節のみことばを取り上げた。
ヨハネによる福音書21章15〜17節には、復活したイエスと弟子ペテロが問答を交わしている場面が描かれている。イエスが「あなたはわたしを愛しますか」とペテロに問いかけたことに対し、「主よ。私があなたを愛することはあなたがご存じです」とペテロが返答している。同じような問答が3回繰り返されているため、多くの人は「イエスが同じことを質問している」と考えがちだが、ウィルソン師は「そうではない」と意見を述べた。
15節から17節をみると、イエスがペテロに対して「わたしの羊を飼いなさい」と同じように答えている。しかし英語の聖書で見てみると、1回目は「lambs(子羊)」、2回目と3回目は「sheep(羊)」となっている。つまり、まずは子ども(12歳以下)を育てること、そして次にティーンエージャー(13歳から19歳)を世話すること、そして最後は大人たち(20歳以上)を牧会することを示しているとウィルソン師は説いた。同師によると、このように段階的に奉仕の質とレベルを高めていく必要があるという。
1段階目は子ども達の養育だ。その際には子ども達の可能性を伸ばすことができるように指導しなければならない。福音の真理が子ども達に根付くように、うまく伝わるように努力する必要があるとウィルソン師は語った。
2段階目はティーンエージャーたちの教育だ。その際に気をつけなければならないのは「ティーンエージャーたちを過渡に世話してはいけない」ということだ。子ども達を牧会する際はこまめに指導する必要がある。しかし、13歳以上のティーンエージャーたちを過保護にするのはかえって逆効果になるという。「彼らを尊敬しながらうまく導かなければならない」とウィルソン師は説いた。
そして3段階目は大人たちの牧会だ。「大人を牧会するときは、彼らにできるだけ多くの奉仕のチャンスを与え、福音を伝えることが大切」とウィルソン師は語った。
なぜ、それぞれの段階にあわせて牧会の質を高めなければならないのか。ウィルソン師はひとつの実例として、アメリカの教会で子ども達やティーンエージャーたちを伝道しようと呼びかけると、「私たちは子ども達の救いのためには召されていません」と言って奉仕を拒む教会があることを挙げた。
「しかし、イエスは子ども達、ティーンエージャーたちも救おうとされたのです。『もしわたしを愛するならわたしの羊を飼いなさい』と主が言われたように、子ども達を救う働きを止めてはいけません」とウィルソン師は語った。
ウィルソン師の講演を聞いた主婦のひとりは、「ウィルソン先生の講演を聞いて励まされました。私には19歳の息子がいますが、いま息子は自分が生まれたことに後悔し、家に引きこもってしまっています。先生が子どもたちのために祈り彼らの救いのために頑張っているように、私も息子のために祈り、何が出来るかを考えて行動に移したいと思いました」と感想を語った。