信仰によって、モーセは生まれてから、両親によって三か月の間隠されていました。・・・彼らは王の命令をも恐れませんでした。信仰によって、モーセは成人したとき、パロの娘の子と呼ばれることを拒み、・・・むしろ神の民とともに苦しむことを選び取りました。彼は、キリストのゆえに受けるそしりを、エジプトの宝にまさる大きな富と思いました。彼は報いとして与えられるものから目を離さなかったのです。信仰によって、彼は、王の怒りを恐れないで、エジプトを立ち去りました。(ヘブル11:23〜31)
今日、開いたのは、信仰の章と呼ばれるヘブル書11章です。「信仰は望んでいる事がらを保証し、目に見えないものを確信させるものです」という有名な御言葉から始まります。ここには、信仰を働かせて用いられた、旧約聖書の信仰者の名前が次々と出てきます。その中でも、モーセは、信仰によって・・・と5回、6回繰り返し出てきます。モーセは、神の民イスラエル人がエジプトで奴隷状態の時、神が送って下さった指導者でした。エジプトから大脱出し、荒野での40年の放浪の果てに、イスラエル人は、約束の地カナンへと入って行くことになりました。彼は、神から与えられた大事業を、信仰によって成し遂げたのです。
私たちは21世紀を生きていますが、信仰者であることをはっきり思い起こし、信仰を働かせて歩むことを自覚しましょう。リストラや、大きな会社が倒産する、世の中全体が揺らいでいる時代だからこそ、信仰という揺るぎない柱を受け止めていきたいのです。信仰によって歩む者として、3つのことを心に刻みつけておきたいと思います。
1.信仰によって、行動する
人が行動を起こす時は、何かが原因となっているのです。本能だけがあなたを動かしていますか。そろばんずくで行動する人も増えています。言われたから、義務だから、時々、私たちは、情けない理由でしか動いていない自分を発見します。でも、そういうことの積み重ねが、あなたの人生をつまらない人生にしてしまいます。
聖書では、神から夢を与えられ、信仰によって、行動を起こすことができると教えています。この旧約聖書の登場人物が、立派な人格者であったわけではありません。モーセも、アブラハムも、失敗は山ほどありましたが、神を信じ行動してみると、弱いままの人生ではなく、神から力を受ける素晴らしい人生へと変わっていったのです。信仰が、私たちの内側を強め、元気の源となることを知りたいと思います。命の源である神が共にいて下さることを信じ行動を起こすなら、必ず勝利します。単に人の顔色をうかがって行動するのではなく、あなた自身が、信仰によって行動することが大切です。
2.信仰によって、継続する
信仰によって、ということは、単なる思いつきや1回きりのことではありません。
モーセは、エジプトの王宮から出て行くとき、エジプトの王家の一人として生きる幸せと富よりも、イスラエル人として神と共に生きる苦悩の道を選びました。エジプトの王パロが怒り、どんなに自分たちを苦しめ迫害しようとも、神が与えて下さる報いは、はるかに大きいと信じたのです。そして、エジプトの大軍隊が迫り来る中、命からがら海に向かって逃れて行くときも、繰り返し信仰を働かせ続けました。
私たちの人生も、良いものを継続するからこそ、価値が出てきます。心臓も、1回、2回、鼓動を打つから、すごいのではなく、寝ていようと起きていようと、何万回も何百万回も動き続けてくれるからこそ、価値があるのです。私たちの人生も信仰による行動を継続してこそ本物です。
3.信仰によって、恵みを分かち合う祝福がある
23節で、信仰によって行動したのは、モーセの両親と姉でした。エジプトの王の「イスラエル人の赤ん坊は、皆、殺せ」という命令を恐れず、生まれたばかりのモーセを生かしておきました。そして、モーセは、王の娘に拾われ、育てられるように導かれたのでした。信仰によるモーセの物語が始まろうとする時、すでに彼の家族が神によって用いられていたのです。
また、30節は、モーセの後継者ヨシュアと、イスラエル人がエリコの城を取り囲み、大勝利を得る時の物語です。31節は、イスラエルの神に向かって信仰を働かせた人は救われたと聖書は語っています。モーセに続くイスラエル人たちも、信仰によって、世代を超えて祝福されました。
信仰による行動は、周りの人々を巻き込みながら、新しい人生、新しい歴史を形作っていくのです。
物事がころころ変わる、あきっぽい時代です。しかし、私たちは信仰によって継続します。ひとりぼっちでわがままな人生が広がっています。でも、私たちは周りのみんなを巻き込みながら、信仰によってみんなと一緒に幸せになっていきます。私たちは信仰によって歩む者です。
「信仰によって」、このキーワードを、あなたの心に、もう一度、しっかりと刻みつけてください。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。