政府と反政府市民との緊張が続くイランの首都テヘランで27日、反政府デモ隊と治安当局が衝突し、国内外のメディアによると数人が死亡し、300人以上が拘束された。
同日国営テレビが報じた警察当局の声明としてメディアが伝えたもの。外国メディアの取材が制限されているため、犠牲者の死因など正確な情報はわかっていないが、銃撃戦による死者があるとの情報もある。
イスラム革命体制を批判していた宗教指導者モンタゼリ師の死去をきっかけにデモが広がったとみられている。朝日新聞によると、国営放送は、一部のデモ参加者が銀行を襲い、バス停を壊すなど暴徒化したと伝えている。
米ホワイトハウス・国家安全保障会議(NSC)のマイク・ハマー報道官は声明で「われわれは、普遍の権利を行使しようとする民間人に対する政府の暴力と不当な弾圧を強く非難する」と表明した。
イラン政府は今年11月にも国内の全ての学校にイスラム教聖職者を1人ずつ任命し、恒久的に配置する方針を固めている。任命された聖職者は校内礼拝を司式し、校内の信教問題や生活に関する全ての事柄について判断を下す権限を持つようになるという。
イランの最高指導者ハメネイ氏は「西洋の教育は生徒たちに宗教を疑問視させる」と批判し、教育のイスラム化を推し進めている。
イランは国民の90%が属するイスラム教シーア派を国教としており、9%は同じくイスラム教のスンニ派。残りの1%にユダヤ教やキリスト教諸派などが含まれているが、イスラム教家庭に生まれた者が他宗教に改宗することは許されておらず、発覚した場合は死刑に処せられる。
米国務省は10月26日に発表した世界各国の宗教の自由に関する報告書(09年度版)で、北朝鮮や中国などを含め、イランを宗教の自由について「特に懸念される国」に指定している。