クリスチャンにとって、世俗の文化の影響から信仰を守り生活していくのは容易なことではない。罪悪の価値観が崩壊しつつあるとも指摘される現代の潮流の中で、われわれが緊急に取り組むべきことは、クリスチャン文化の創出と発展だ。われわれは、世俗文化よりも強い求心力と真理を持ち合わせたクリスチャン文化の創出と拡大に緊急で取り組まねばならない。世の罪悪の文化に身を汚さぬよう、心のよりどころを求めてさまよう人々をわれわれがとらえるべきだ。全ての人々が安心してキリストの恵みに浸り、神を賛美し、安息を得る空間を作ることが急務だ。
TV、雑誌、インターネットなどで見られる大衆文化には、人の心の渇きを潤す有意義で価値のある情報よりも、即物的で短絡的な快楽、外見上の美しさだけを追い求める情報が圧倒的に多い。際限なく過激な性描写や暴力を助長する雑誌、広告、言論から受ける悪影響は、若者や子どもの間で特に深刻だ。
人々を引きつけるためには、クリスチャン文化の水準を大幅に向上させねばならない。一般大衆に多大な影響を与える歌謡曲、ファッション、ドラマ、漫画、アニメなどのエンターティンメントでも、大手企業と同等のものをクリスチャンが創っていかねばならない。全てに勝る神の言葉があれば、これらは決して不可能なことではない。
事実、クリスチャンはさまざまな分野でキリスト教文化を育て、社会に影響を与えてきた。音楽業界では代表的なオーストラリアの音楽伝道団体ヒルソングらが「コンテンポラリーキリスト教音楽(CCM)」のジャンルを築き、大規模なコンサートを通じて数万人という人々を福音に触れさせた。ダンス・パフォーマンスや音楽コンサートは伝道活動の中で非常に重要な位置を占めるようになっている。絵画や創作物など芸術の分野でもクリスチャンの活躍が目立っている。活版印刷と並ぶ発明として注目されるインターネットを利用した働きも増え続けている。情報を求めてネット世界を放浪する、心の餓え乾いた人々がキリスト教と出会う機会も格段に増えたといえる。
クリスチャン文化は福音を土台として始まり、福音を宣布するものでありたい。流行など社会の価値観に揺れることのない、十字架と復活の不変の真理から離れてはいけない。真理を土台としたメッセージには人々を捕らえる力がある。人は永遠で不変なものを求めている(伝道3:11)からだ。
クリスチャン文化は神を賛美する手段でありたい。クリスチャンは、無条件で救われたことを喜び、神を褒め称える。業績や家系によらず、全ての人に平等に与えられる永遠の命のメッセージを、苦行や功績で救いを得るとする他の宗教は知らない。神を愛し、賛美することは、最も人間らしい行為であり、最も崇高な芸術表現ではないだろうか。
高度な文化の創出と成長には、財政的な支援が不可欠だ。日本の教会出席人口は40万人を大きく下回る。この状況の善しあしを決めるのは、われわれクリスチャンの信仰だ。奉仕者の情熱と、低コストで質の良い商品を生産する戦略、目の前の課題を乗り越える堅固な信仰が必要だ。同時に、愛を惜しまぬ暖かい支援と、クリスチャン同士の連携が必要となる。
規模が拡大するにつれ生じる著作権等の法的問題や、新規参入の団体に対する既存団体からの圧力、小さな市場の中で公平な競争のできるシステムなど、精神、業界構造両面の見直しが要求される。市場をクリスチャンに限定せず、広い視野を持って一般社会に進出し、社会に影響を与えるほどになるように、キリスト教界の環境整備が急務だ。
キリスト教は、インターネット上の戦いで負けてはいけない。ネットは、用途次第で毒にもなり薬にもなる。次世代のクリスチャンが豊かなクリスチャン文化の中で生きるために、また世の悪影響を受けないために、ネット上でサタンの文化が定着する前に、いち早くクリスチャン文化の基盤を固めておく必要がある。
ネットのコンテンツ(内容)は、アイディアと技術さえあれば低コストで大きな効果を得られる点が、これまでの媒体のそれと異なる。ネットを使った福音伝播とクリスチャン文化の普及はわれわれの強力な武器となり得る。ネット空間こそ、輝かしいクリスチャン文化が開花し発展するべき場だ。早い速度で変化する社会、そしてサタンに遅れを取ることなく、ネット世界を掌握しなければならない。教会を離れたクリスチャンや未信者を救うための強力な救いの網(ネット)であるからだ。
罪悪に満ちた文化の中で、われわれクリスチャンはイエス・キリストの文化を生み出し、砂漠にわく泉のように、人々に生きる勇気と希望を与え、社会を浄化する美しく尊い使命がある。このために、クリスチャンが共に祈り、連携して実行に移すことが必要だ。
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