「これは、あなたがたにのために与える、わたしのからだです。わたしを覚えてこれを行いなさい。」
「この杯は、あなたがたのために流されるわたしの血による新しい契約です。しかし、見なさい。わたしを裏切る者の手が、わたしとともに食卓にあります。」―――ルカ22章
イエス・キリストが十字架につけられる前に、12人の弟子たちと共に過ごした最後の夜。レオナルド・ダ・ビンチによる「最後の晩餐」は、キリスト教美術の中でも欠かすことの出来ないドラマチックな場面を描いた名画として広く知られている。
京都の日本イエス・キリスト教団・峰山教会に飾られた、和紙による人形美術「最後の晩餐」は、食器からテーブルクロスなど細部にまでこだわりを持った忠実な描写により、平面では描き出せないリアルな躍動感を生み出した。大きさは高さ60センチ、幅1メートル20センチ、奥行き50センチ。
製作は京都府京丹後市在住で、和紙人形制作に情熱を傾ける阪本昭栄さん(78)。これまで日本の童話などをモチーフに、和の人形を製作してきた。今回初めて手がけた西洋人形は、十字架につけられる前のイエス・キリストと弟子たちの姿。クリスチャンである自身のアイデンティティを強く確認する作品となった。
人形は紙粘土で身体を作り、着物は和紙を草木染で染め仕立てていく。当初、13対の人形制作はクリスマスをめどに完成を予定していたが、驚いたことに、7月に製作を開始して8月の終わりにはすでに出来上がっていた。
「楽しくて、神様に動かされるような感覚で、一気につくり上げることが出来た。不思議としか言えない」と阪本さん。聖書の世界を題材に製作を進めていく中で、クリスチャンとしての本髄である聖霊の働きを感じ取り、上からの力に促された。
同教会の水川武志牧師は、「何かの機会があればこの作品を展示したいと考えています。市役所や老人ホームなど、期間を設けて展示したい。(市民が)福音に触れるきっかけになれば嬉しい」と語った。
作品に関する問い合わせは、日本イエス・キリスト教団・峰山教会(〒627-0012 京都府京丹後市峰山町杉谷894、電話:0772・62・1401、ファックス:0772・62・1480)まで。