更新伝道会(佐野英二会長)の第36回大会が27〜28日、東京・渋谷の青山学院大学・青山キャンパスで行われた。1日目には深町正信氏(青山学院院長)が、メソジスト3派合同100周年を記念して講演。2日目には大塚野百合氏(恵泉女学園大学名誉教授)が、チャールズ・ウェスレーの生誕300周年を記念して講演を行った。2日間で延べ約200人が参加した。
今年は、日本で早くから伝道を開始した米国メソジスト監督教会、カナダ・メソジスト教会、米国南メソジスト教会による3派が合同し、日本メソジスト教会が結成されて100周年を迎える記念の大会。さらに今年は、ジョン・ウェスレーの弟で多数の賛美歌を作ったことで知られるチャールズ・ウェスレーの生誕300周年でもある。
1日目、同大本部礼拝堂で行われた開会礼拝で、長山信夫氏(日本基督教団・銀座教会牧師)が「心に祭壇を築く」(創13:1〜18)と題して説教。アブラハムに見る祈りの特徴などを伝えた。その後、会場を同大の大学総合研究所ビルに移し、深町氏が「日本メソジスト教会の三派合同100周年を記念して」を講演した。深町氏はクリスチャン4代目として自らの家系に触れつつ、1873年の禁教令廃止から、日本メソジスト教会の誕生に至る背景や経緯を説明し、同教会の特徴や伝統などをまとめ、伝えた。
2日目は、賛美歌研究の第一人者である大塚氏が「チャールズ・ウェスレー生誕300年にあたって」を講演。最後の追悼・献身礼拝では岸憲秀氏(日本基督教団・千葉本町教会)が天に召された同会のメンバー数人の活躍について振り返りつつ、「ひたすら主の道をすすむ」(詩86:11〜13、ローマ12:1〜12)を説教した。
同会は、1960年代後半に始まったいわゆる教団紛争による混乱の中、1971年に「東部更新伝道会」という名称で始まった。目的は、「日本基督教団の秩序の下にあって、その信仰告白を堅持し、ウェスレーの信仰の精神を活かすことにより、教団の健全ある発展に寄与しよう」とすること。メソジスト運動の創始者であり、何よりも人々の救済を第一に考えたジョン・ウェスレーに倣い、福音宣教を第一と考えるメソジスト教会の集まりとして活動が始まった。
「更新伝道会」という名称は、戦後、教団の秩序を保ちつつもメソジスト教会の伝統を大切にしようとする人々が自らを「更新会」、後に「更新伝道会」と呼んだことに由来する。毎年夏には更新伝道会大会を開催し、5月24日にはウェスレー回心記念日集会を行う。さらに、年に数回のウェスレー研究会を開き、ウェスレーの信仰を学び、そのよい伝統を教団の発展に生かそうと活動を続けている。
【チャールズ・ウェスレー(1707〜1788)】 18世紀、英国国教会で信仰覚醒運動としてメソジスト運動を指導したジョン・ウェスレーの弟。兄ジョンの良き理解者であり、同運動の指導者でもあった。「英国の賛美歌の父」とも呼ばれるチャールズは、6千近くの賛美歌を生み出したとされ、ゴスペル音楽協会(GMA)は95年にその業績を称え、ゴスペルの殿堂(Gospel Music Hall of Fame)に加えるなどしている。賛美歌98番「天(あめ)には栄え」などチャールズが作曲した数多くの賛美歌が現在も歌われている。今年、生誕300周年を迎える。