今年1月から12月までに本紙に掲載した国内記事で多くの方に読まれたランキングは以下の通り(翻訳による国際記事は改めて掲載する。連載コラムは外した)。12月30日現在のアクセス数に基づき、同テーマの記事はまとめることにした。ちなみに幾つかの大きな集会が今年はあったが、諸般の事情で取材できなかったものも多く、ランキングに登場しないことをご了解いただきたい。
昨日発表した20~8位に続いて、今日は7~1位。
第7位は「沖縄戦で武器を持たずに75人を救ったクリスチャン兵の実話 映画『ハクソー・リッジ』」(6月23日掲載)。「パッション」のメル・ギブソン監督の新作で、壮絶を極めた沖縄戦で、セブンスデー・アドベンチスト教会信徒である米軍衛生兵が、「殺すなかれ」の戒めに従い、武器を持たず、人の命を救うことに徹した姿を描いた作品。
第6位は「拉致被害者家族の横田滋さんが受洗、早紀江さんが通う教会の牧師から」(11月9日掲載)。今年11月15日、横田めぐみさんが北朝鮮の工作員によって拉致されてからちょうど40年目を迎えた。その前日が父親の滋さんの誕生日で、85歳に。そうした中、10月、妻の早紀江さんから國分広士牧師(日本福音キリスト教会連合中野島キリスト教会)に、滋さんが洗礼を受けたいとの話があり、11月4日、自宅で洗礼を受けた。
「横田早紀江さんを囲む拡大祈祷会 夫の滋さんの受洗とトランプ米大統領との面会について報告」(11月10日掲載)では、滋さんの洗礼と、先日、来日したドナルド・トランプ米大統領と面会した時のことを早紀江さんが報告した。
「その時、私が持っていためぐみの写真を・・・お渡ししました。(トランプ大統領は)それを何とも言えない表情、真剣な強いまなざしで見られて、・・・私を見て『頑張りなさい』とあたたかい微笑(ほほえ)みを浮かべて言ってくださった・・・。めぐみちゃんも何らかの使命を持って、こうして一生懸命耐え忍んで、帰る日を待ち望んでいると思います。私も・・・早く喜びの大泣きをしたいと思いますので、どうぞこれからもお祈りくださいますようによろしくお願いします」
第5位は訃報関連。「『置かれた場所で咲く花に』 渡辺和子さんの学園葬に3500人」(2月13日掲載)は、昨年12月30日に89歳で帰天したノートルダム清心学園(岡山市)理事長、渡辺和子さんの学園葬を取材したもの。式には、「二・二六事件」で渡辺錠太郎総監(渡辺さんの父親)を殺した青年将校の弟、安田善三郎(91)さんも出席した。1986年、青年将校らの法要に渡辺さんが初めて訪れたとき、偶然、安田さんが案内することになったという。安田さんは涙ながらに渡辺さんに謝罪。やがて渡辺さんに導かれるように、91年、神奈川県内のカトリック教会で受洗した。
「私は、シスターの姿にキリストを見たような気がしている。どうして、自分の父親を殺した犯人の墓に手を合わせたり、その弟の私と食事を共にしたりするようなことができるだろう。私は、シスターの100分の1、千分の1にも満たないが、あのような人になりたいと思った」
この安田さんには改めてインタビューをして「渡辺和子さんから学んだ『赦し』 2・26事件青年将校の弟、安田善三郎さんインタビュー」(2月26日掲載)という記事を、「二・二六事件」のあった日に合わせて掲載した。
第4位は「『光の教会』の礼拝空間を東京で体感できる 『安藤忠雄展 挑戦』国立新美術館で開催中」(9月29日掲載)。12月18日で終わったが、安藤忠雄さん(76)の代表作「光の教会」(日本基督教団茨木春日丘教会)が原寸大のコンクリート造りで再現されることが話題になった。
第3位は「ツイッターは現代の路傍伝道、フォロワー数3万超の上馬キリスト教会 横坂剛比古さん」(6月11日掲載)。本誌で隔週月曜日に連載中の「日々是ハレルヤ」の執筆者、横坂さんへのインタビューだ。彼の所属する上馬キリスト教会(東京都世田谷区、渡辺俊彦牧師)のツイッターアカウントをフォローしている人は、教会としては異例の3万人(12月現在は約5万人)。2015年に開設し、昨年、大幅にフォロワー数を伸ばした。そのきっかけは、イエスの肖像画とともに「イエス、高須クリニック」とツイートすると、それを高須克弥院長が見て自身のフォロワーに紹介してくれたことだった。
「『教会からずっと離れていたけど、上馬さんのおかげで、何年かぶりに戻ることができました』とか聞くとうれしいですね。実際、ここの教会も来会者が増えましたよ。現在、求道中の方の中にもツイッターがきっかけの人もいます」
第2位は「日野原重明さん召天 牧師の子として生まれ、母の命を救った医師との出会いで医学の道へ」(7月18日掲載)。聖路加国際病院名誉院長の日野原さんが7月18日に召天した。105歳。牧師の子として育ち、少年時代から医学の道を志したその人生を紹介した。カトリックの渡辺和子さんと共に、プロテスタントの日野原さんも、多くの人に生きる励ましを与えていたことが、この順位からうかがえる。
「日野原重明さん葬送・告別式 聖ルカ礼拝堂チャプレン、ケビン・シーバー司祭と上田憲明司祭に聞く」(7月29日掲載)は、29日の告別式で説教をした聖路加国際大学聖ルカ礼拝堂主任チャプレンのケビン・シーバー司祭と上田憲明司祭へのインタビュー記事。日野原さんのクリスチャンドクターとしての人となりが語り合われた。「ケビン・シーバー司祭による日野原重明さん葬送・告別式説教」(同)は告別説教を掲載したもの。
第1位は断トツで、マーティン・スコセッシ監督の映画「沈黙――サイレンス」。キリシタン迫害を描いた遠藤周作の小説『沈黙』(1966年)を映画化したもので、小説が発表された当時は「転ぶ」弱さを肯定するとしてキリスト教界で物議を醸(かも)した。それを、「最後の誘惑」(1988年)においてキリストがマグダラのマリアと結婚する誘惑を描き、これまた議論を呼んだスコセッシが映画化するとあって、この新作はクリスチャンの間でも評判になった。
何度か関連記事を掲載したが、その中でもトップは大阪城東福音教会牧師である青木保憲(やすのり)氏の「映画『沈黙』はクリスチャンにとってどんな意味を持つのか」(1月23日掲載)と「映画『沈黙』はノンクリスチャンにとってどんな意味を持つのか」(同)。その2日前に全国ロードショー公開されたタイミングでもあり、よく読まれた。
「おそらくこの映画を見るなら、きっと一緒に行った誰かと語り合いたくなるだろう。・・・これはみんなで体感し、そして自分たちに置き換えてあれこれと語り合う映画だ」
青木氏がそう書く通り、「在日外国人や若者が見た『沈黙』 『沈黙―サイレンス』映画deディスカッション」(2月6日掲載)という記事が、それに続いて読まれた。在日外国人と日本の若者たちの映画へのさまざまな感想を紹介した記事だ。
「映画『沈黙』ロドリゴ神父の実在モデルとなったキアラ神父の信仰」(2月18日掲載)は、サレジオ会調布修道院(東京都調布市)にあるキアラ神父の墓碑を訪ね、同敷地内にあるチマッティ資料館館長のコンプリ神父にその生涯についてインタビューした記事。