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神学書を読む

神学書を読む(10)ノーマン・V・ピール著『新訳 積極的考え方の力―成功と幸福を手にする17の原則』

2017年2月10日17時19分 執筆者 : 青木保憲
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神学書を読む(10)ノーマン・V・ピール著『新訳 積極的考え方の力―成功と幸福を手にする17の原則』+
ノーマン・V・ピール著『新訳 積極的考え方の力―成功と幸福を手にする17の原則』(ダイヤモンド社)

本書は、厳密には「神学書」とは言えない。しかし、書かれている内容は、一般ビジネスマン向けではあるものの、聖書に基づいている。なぜなら、作者のピールはニューヨークで1950年代に活躍したキリスト教牧師である。そして今や書籍コーナーの一部門を担っている「自己啓発本」のはしりとも言える。

いつの頃からだろうか、聖書に基づいたメッセージの中に「自己啓発」的なポジティブシンキングが入り込んできた。福音主義的見地から言うなら、本来聖書が私たちに伝えるメッセージは「人は生まれながらにして罪人」である。それを神の力、キリストの十字架によって立場の変換が起こり、「救われた者」すなわち「クリスチャン」となる。

だが現在、巷にあふれている「自己啓発」は、この発想を逆転させている。つまり「私たちの中にある素晴らしい価値に気が付きなさい」というメッセージである。それに基づいて、理性、またはトレーニングによって、本来固有に備わっている能力を如何(いかん)なくアウトプットさせることができる。おおむね、このような方向性で語られる。

すると、多くの福音主義的説教者は「聖書は単なる自己啓発ではありません。これは真理に基づいた人生指南なのです」という語りになり、自己啓発本と聖書を対立項に捉えることを是としてしまう。しかし歴史的に見るなら、これは大きな誤りだ。そもそも「箴言(しんげん)」は立派な格言集という意味では私たちに啓発的な刺激を与えるし、聖書から生まれた多くの格言も、おしなべて自己啓発的な色合いを帯びている。

また、若い人を教会へ導くという実践神学的視点からみても、聖書と自己啓発を近しいものとして扱うことはとても有益である。知り合いの牧師はピールの本に基づいて、毎回の聖書研究会を進めている。そしてとても有益な伝道ツールになっていると聞く。

さて、そんな背景を押さえたら本書の中身に入っていこう。本書は副題にある通り、17章に分かれていて、それぞれのトピックスを読者の必要に応じて拾い読みすることもできるスタイルになっている。また各章の最後に簡単なまとめが記されていて、これだけを拾い読みしても言いたいことは分かる。しかし、それでは本書の魅力の大半を失ってしまうことにもなりかねない。やはり、しっかりと最初から読み進めていくことをお勧めする。

なぜなら、そこには1950年代の例話が挙げられており、それに対処するための聖書の言葉が記されているからである。実は本書は聖書の言葉(御言葉)を当時の時代性に照らしながら解説する、とても実践的な聖書解釈本だったのである。ここに、私たちがなぜ聖書を読むべきか、またこれが読み継がれてきたかの本質を垣間見ることができる。

まず例話が過去の話である(今から60年以上前の米国社会に向けて書かれたものであれば、当時としては最新の例話)にもかかわらず、私たちの今の状況にもピッタリとフィットするものが多く収められていることに気付かされる。まあ、人間はあまり進歩していないと言うべきか、むしろ特定の時代に左右されない普遍的なポイントが17挙げられていると捉えるべきか、そのあたりは読者の判断でいいだろう。

いずれにせよ、例話がとても具体的であり、それに対する識者の格言、そして何の前ふりもなく「神は・・・」と語られた後に聖書の言葉が添えられていたり、よく知っている聖句が分かりやすく噛(か)み砕かれた形で解説されているのである。そういった意味で、教会のディボーションなどにも大いに役立つだろう。

次いで、「祈りの力」「信仰の力」「神の力」という言葉が頻繁に用いられていることが特色として挙げられる。本書がダイヤモンド社から出ていることからも分かるように、これはビジネスマンや自らのスキルを上げたいと願う、やる気のある社会人向けに出版されている。そしてその大半は(日本においては)キリスト者ではない。私が本書を見つけたのは、某大学の就活支援コーナーである。平積みで置かれていた本書には、手書きでこんなポップが添えられていた。「就活で自分の価値を見失いそうになったあなたへ」

このことからも分かるように、現代人が自分の価値を見失いそうになるとき、また自らの存在を社会から問われるとき、一般の自己啓発専門の出版社は真っ先にこのピール牧師の本を再版したのである。つまり聖書の知恵、その格言としての言葉に頼ったということである。この意味は大きい。そしてその大きさを実はキリスト者たちはあまりにも過小評価してしまっていないか。あまりにも内輪受けする話(教会内での証し、礼拝説教での例話程度)に押しとどめていないだろうか。

もっと聖書の言葉を世にある自己啓発本の中に紛れ込ませることで、逆に聖書の価値、神から人類へ贈られた「知恵の書」としての本領が発揮されるのではないだろうか。

本書は全世界で2千万部を超えるベストセラーとなっている。キリスト教系牧師で、同じようなヒットを飛ばしているのは、テキサス州レイクウッドチャーチのジョエル・オスティーン牧師の『あなたはできる』(PHP研究所)である。これは今なお再版されている。

くしくも3月から2017年の大学生就活が解禁となる。そして新年度を迎える。この機会に、ぜひ新たな視点から聖書を学ぶために、本書を手に取ってみてはいかがだろうか。

ノーマン・V・ピール著『新訳 積極的考え方の力―成功と幸福を手にする17の原則』(ダイヤモンド社)

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◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

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