Skip to main content
2025年5月9日12時47分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍
神学書を読む

神学書を読む(6)『クー・クラックス・クラン 白人至上主義結社KKKの正体』

2016年12月7日22時10分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
関連タグ:アメリカ青木保憲ドナルド・トランプ
これだけは読んでみたい神学書(6)『クー・クラックス・クラン 白人至上主義結社KKKの正体』+
浜本隆三著『クー・クラックス・クラン 白人至上主義結社KKKの正体』(平凡社新書、2016年)

KKK(クー・クラックス・クラン)といえば、白い目出し帽子の三角頭巾にワンピース状の白いローブをまとい、炎の十字架を掲げて黒人たちをリンチして回る恐ろしい集団、というイメージがあるのではないだろうか。

映画「ミシシッピー・バーニング」や「マルコムⅩ」などに登場する彼らの風貌、そして言動は、見る者にも恐怖と怒りを覚えさせる存在である。また本書でも紹介されているが、2016年2月に「KKKの騎士(KKKの現代的名称)」の元代表デヴィッド・デュークは、トランプ氏支持を早々と表明した。

トランプ氏の負のイメージが私たちに影響を与え、両者に頑固な乱暴者というレッテルを貼ってしまいたくなるだろう。しかし本書は、そんなKKKへの私たちの偏見を喝破し、彼らの起源から現代までをコンパクトにまとめた新書である。一言で言うなら、私たちの勝手な思い込みを訂正してくれる1冊であると言っていい。

KKKはもともとは牧歌的で道徳的な集団だった!?

思い込みへの指摘は、細かな点にまで及ぶ。例えば、燃え盛る十字架は何のためか? 一見すると、十字架を燃やしているのだからキリスト教に反対していたり、黒人たちに慈悲を投げ掛けるキリスト教会に対抗しているようなイメージを受ける。

例えば国旗を燃やしたり、気に入らない政治家の人形を燃やしたりするのと同じで、十字架も燃やしているのだろうと考える。ところが、これが全く正反対であった。十字架を高く掲げ、目立たせるために火をつけているのであって、決して燃やしているのではない。

ということは、ある時期のKKKの指導者層は牧師やキリスト教関係者が担っていたということである。

また、白装束を身にまとっているため、白人男性の秘密結社的なイメージがあるが、実はそうではなく、女性のKKK、そして子どもたちのKKKまでも存在していたということが分かっている。

もちろん、1950年代以降の公民権運動に反対したKKKは白人男性(南部のWASP)が中心であった。しかしKKKには3つの時代が存在し、おのおのにKKKが目指していたものを知るとき、実はとても牧歌的で道徳的な集団という一面が見えてくるのである。

米国における「秘密結社」の必要性と意義

そもそもKKKは、19世紀半ばの南北戦争後に米国南部で結成された秘密結社である。「秘密結社」という響きが、「世界征服のために暗躍する悪の組織」というイメージを私たちに与えてしまう(決して「仮面ライダー」に罪はないと思うが・・・)が、実はこの概念は米国では必要不可欠な存在であった。

それは、西部開拓時代、全く頼るべき親族も友人もいない中で、人々はこの秘密結社に属することで日常の必要が与えられていたのである。だから現代でいうなら、ボランティア団体のようなものが個々人を支えていたということになる。

KKKもその1つとして生み出された。その中心を担ったのは、南軍の元従軍兵士たちであった。3章で描き出されるKKKの歴史はどこか牧歌的で、エンターテインメントに満ちている。

戦争後、停滞しがちな南部の町を活気づけようとして結成されたKKKには、具体的な敵が2つ存在した。1つは、戦争で勝利した北部人である。彼らが勝手に自分たちの土地にやって来て、今までのシステムを変えていくことが、南部人にとっては我慢ならなかったのである。

そしてもう1つが、北部人のシステムによって解放された黒人であった。しかし19世紀後半の段階では、むしろ北部から流れ込む近代化に対する嫌悪の方が強かったようで、同じ気持ちを共有した南部人は、こぞってKKKに入会したということである。

面白いことに、白いフードというのは最近のことで、実はKKKは伝統的に緋色をモチーフにしていたということも、本書では挿絵付きで紹介してくれている。やがてKKKが暴徒化し、ついに国家的な取り締まり法案がなければ抑制が効かなくなっていくさまは、読んでいて決して過去のこととは思えないリアリティーがあった。

KKKの隆盛と衰退

4章からは、米国が独立を勝ち取って以来、南北でいかに考え方の違いが生み出されてきたかを浮き彫りにしながら、KKK誕生の歴史を立体的に見せてくれる流れになっているため、大変読みやすい。

1915年に公開したD・W・グリフィス監督の「國民の創生」で描かれたKKKのイメージがきっかけとなり、第2期のKKKが生み出されたというあたりは、いかにもハリウッドの黎明期と米国の歴史が連動していたかがよく分かる。そしてメディアがいかに歴史を創作してきたか、というアイロニカルな過程を私たちに示してくれる。

アグロサクソンの優位性と異人種(黒人のみならず、新移民に対しても)を排斥する目的で、KKKが再び活性化するさまは、現代米国のトランプ現象とも重なる、と筆者は指摘している。

5章では、米国が常に他者に「同化」を迫り、それがうまくいかないと「排斥」へと容易に流れてしまう傾向を内包していることを詳述している。1924年には、KKKの会員数が数百万人に膨れ上がる。それだけWASPの優位性を叫ぶ必要があったということだろう。しかし、移民制限法が同年に制定され、1929年に大恐慌が発生するに至って、会員数は激減する。

米国南部人の心象風景と思考法の表れ?

このような流れでKKKの歴史を見てくると、これは単に1つの秘密結社の栄枯盛衰物語ではなく、米国南部人の心に描き出されたものが何であったか、ひいては米国人が内面ではどのような思考法で物事に向き合っているか、を分かりやすく伝えてくれる著書となっていることに気づかされる。

本書の帯に掲げられている「排外主義の火はなぜ消えないのか」という文言は、今の米国を端的に表した言葉だともいえるし、だからこそこの時期にKKK関連の新書が発売されたのだともいえる。

トランプ現象は、ついにトランプ大統領を生み出した。そして、来年から米国は、大きな転換期を迎える。しかし、本書を見るなら、米国はこのような「同化」と「排斥」の狭間で歴史を紡ぎ出してきたのであり、決してトランプ現象は珍しいことではない、ということが分かる。

本書はこのことを間接的に、そして俯瞰(ふかん)的に示してくれる1冊といえよう。トランプ現象に興味を持つ方なら、何かきっと発見できる良書である。

浜本隆三著『クー・クラックス・クラン 白人至上主義結社KKKの正体』(2016年10月、平凡社新書)

<<前回へ     次回へ>>

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

関連タグ:アメリカ青木保憲ドナルド・トランプ
  • ツイート

関連記事

  • 神学書を読む(5)『アメリカ 異形の制度空間』 気鋭の哲学者が読み解くアメリカの誕生と歴史

  • キリスト教から米大統領選を見る(20)福音派は超現実肯定主義者? 神への絶対信仰の「功」と「罪」(1)

  • 在日米国人に聞く米大統領選 トランプに賛成しクリントンに反対した理由

  • 神学書を読む(2)トランプ現象を前に『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―』

  • 神学書を読む(1)キリスト教から米国が見えてくる『宗教からよむ「アメリカ」』

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 新教皇を選ぶコンクラーベ、いつ、何回目の投票で決まる? 181日間に及んだケースも

  • 新ローマ教皇にプレボスト枢機卿、教皇名は「レオ14世」 初の米国出身者

  • 聖墳墓教会の床下発掘調査で貴重な発見、ヨハネ福音書の記述を裏付ける証拠に

  • 自分を愛する生き方 菅野直基

  • 復活はないのか(その1) マタイ福音書28章

  • ヨハネの黙示録(2)主は雲に乗って来られる 岡田昌弘

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(5)「苦しみ」の構図 三谷和司

  • 貧困国の少女たちにドレスを贈り続け400万着 神の愛を届ける宣教の手段にも

  • 米ジョージア州で「信教の自由回復法」成立、全米30番目の州に 9年前には不成立

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(221)音楽葬に導かれて 広田信也

  • 新教皇を選ぶコンクラーベ、いつ、何回目の投票で決まる? 181日間に及んだケースも

  • 次期ローマ教皇の有力候補4人

  • 新ローマ教皇にプレボスト枢機卿、教皇名は「レオ14世」 初の米国出身者

  • ローマ教皇フランシスコの死去に対する日本国内の他教派の反応

  • 聖墳墓教会の床下発掘調査で貴重な発見、ヨハネ福音書の記述を裏付ける証拠に

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 米ジョージア州で「信教の自由回復法」成立、全米30番目の州に 9年前には不成立

  • 保育の再発見(30)もはやロマンで保育は語れない時代に

  • フランスのカトリック教会、復活祭に成人1万人以上が受洗 昨年比45%増

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(5)「苦しみ」の構図 三谷和司

  • 新教皇を選ぶコンクラーベ、いつ、何回目の投票で決まる? 181日間に及んだケースも

  • 次期ローマ教皇の有力候補4人

  • 新ローマ教皇にプレボスト枢機卿、教皇名は「レオ14世」 初の米国出身者

  • ローマ教皇フランシスコの死去に対する日本国内の他教派の反応

  • 聖墳墓教会の床下発掘調査で貴重な発見、ヨハネ福音書の記述を裏付ける証拠に

  • フランスのカトリック教会、復活祭に成人1万人以上が受洗 昨年比45%増

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 米ジョージア州で「信教の自由回復法」成立、全米30番目の州に 9年前には不成立

  • 保育の再発見(30)もはやロマンで保育は語れない時代に

編集部のおすすめ

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 後藤健二さん没後10年、追悼イベントで長女が映像メッセージ 「誇りに思っている」

  • ロシアの軍事侵攻から3年、在日ウクライナ正教会が祈りの集会 片脚失った負傷兵も参加

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.