世界平和統一家庭連合(旧称:世界基督教統一神霊協会=統一教会)の信者である元妻が無断で多額の献金をしたのは、教団の組織的な指示によるものだったとして、東京都在住の60代男性が約1億円の損害賠償を求めていた訴訟で、東京地裁は13日、男性の訴えを認め、教団に約3400万円の損害賠償を支払うよう命じた。時事通信などが伝えた。
同通信や産経新聞によると、男性と元妻は1980年に結婚し、元妻は84年に旧統一教会に入信。男性名義の口座の管理も任されていたが、男性に無断で教団に多額の献金をしていたという。2009年に発覚し、11年に離婚。判決では「旧統一教会は組織的活動として、夫の意思に反して財産を妻に献金させていた」(同通信)と認定した。
同通信によると、元信者による賠償請求が認められた例は複数あるが、現役信者の親族らの請求が認められるのは今回が初めて。また、同紙によると、献金をめぐって教団の組織的な不法行為が認められたのは、97年以来2例目。教団側は不当な判決だとして、控訴を検討するとしている。
世界平和統一家庭連合は昨年8月、名称を「世界基督教統一神霊協会(統一教会)」から変更。名称変更を発表する際、献金や勧誘活動について教団側の使用者責任を問う司法判断があったことを受け、「今後このような問題を問われることのないよう、日本社会と国家からより信頼を受けることが出来るように、宗教法人として適正な管理運営に努めて参ります」などとしていた。
旧統一教会をめぐっては、霊感商法によるトラブルや、マインドコントロールによる勧誘活動などが社会問題となり、裁判も多数行われてきた。キリスト教系の新宗教団体だと自称しているが、日本のキリスト教界では、キリスト教の一教派とは認められていない。