世界基督教統一神霊協会(統一協会)の教祖文鮮明が設立した「鮮文(ソンムン)平和サッカー財団」が7月12日から韓国で開催する国際サッカー大会「2007ピースカップコリア(PEACE CUP KOREA)」に、日本からJリーグの清水エスパルスが出場の意向を表明し、これに対して全国霊感商法対策弁護士連絡会が出場を取りやめるよう申し入れていたことが22日までにわかった。
大会には、欧州、南米、アジアから参加する8つのプロチームがAとB、2つのリーグに分かれ、ソウル、釜山、水原など7都市で10日間に渡る戦いを繰り広げる。同大会の優勝賞金は200万ドル(約2億4千万円)、準優勝は50万ドル(6千万円)と高額で、統一協会から送られる資金が大会の運営を支える。
全国霊感商法対策弁護士連絡会は、同大会への出場を表明したJリーグの清水エスパルスに対し、「(同大会出場は)統一協会の霊感商法の被害者らを侮辱し、サポーターに対する背信行為」といった内容の抗議書を送付した。抗議書は「(同大会運営)資金のほとんどは、日本での霊感商法により、善良な市民から違法に奪い取ったもの」としている。
同連絡会の調べによると、統一協会による日本国内の霊感商法の被害総額は、1987年から2006年までの期間で把握されているものだけで約983億円。相談件数は約2万8000件にのぼる。現在も新たに被害を受ける人は後を絶たず、元信者や霊感商法で被害を受けたとして損害賠償を求める裁判が相次いでいる。統一協会による霊感商法は主に日本で行われており、他国ではほとんど実施されていない。
統一協会は、全国の主要な駅や繁華街での手相占いやアンケート、また知人を通して先祖供養や厄払いをしなければ災難が降りかかるなどと言って脅し、センターに呼んで鑑定料や供養代として多額の金銭を要求したり、災いを払うためと、つぼや印鑑などを不当に高い金額で売り付ける霊感商法を行う集団として知られる。
豊富な資金と組織力により統一協会が設立した「鮮文平和サッカー財団」はサッカーを通し、人類和合と平和のメッセージを全世界に伝え、民族や文化を超えた世界統一家族と、世界平和の実現を目標としており、同財団理事長である郭錠煥(クァク・ジョンファン)氏は韓国プロサッカー連盟の会長という立場だ。
大会は2003年から2年おきに開催され、今回は3回目。過去2回の開会式では文鮮明氏が自ら挨拶した。また、優勝したチームには文氏から直接カップと賞金が手渡されている。スポーツによる健全な精神の育成はどこから来るのか、平和を掲げたボールの転がる行方が注目される。