キリスト教の弟子訓練の普及に努めてきた小牧者訓練会の創始者である韓国人宣教師の卞在昌(ビュン・ジェチャン)氏(国際福音キリスト教会前主任牧師)が、複数の女性信徒にセクシャル・ハラスメントを行っていたとされる問題で、同教会の一部信徒と小牧者訓練会に関わってきた牧師らは超教派で3日、卞氏に被害者へ対する謝罪を求め、日本での弟子訓練の再構築の必要性を訴える緊急の声明を発表した。日本のキリスト教各紙が伝えた。
今回声明を発表したのは、これまで小牧者訓練会と協力するなどして日本での弟子訓練運動を進めてきた牧師らを中心とした「卞在昌宣教師の性的不祥事を憂える超教派の牧師会」。声明では、▽小牧者訓練会、小牧者出版社との関係を断ち、組織の清算を求める、▽事件の全貌を明らかにし、被害者への謝罪と償いを求める、▽小牧者訓練会、小牧者出版社、国際福音グループとの関係を奨励してきたことを謝罪し、被害者のための支援を行う、▽日本における弟子訓練の再構築を訴える、の4項目を挙げた。
小牧者訓練会とはこれまで、日本の約60教団・教派2000教会が、その弟子訓練プログラムにおいて何らかの関わりを持っており、その創始者である卞在昌氏の今回の問題により大きな影響と動揺が出ると考えられる。
すでに、日本基督教団で弟子訓練を進め、今月1月に予定されてた「小牧者コンベンション」の大会会長であった疋田國麻呂牧師(同教団大宮教会)はその役職を辞任、全国の教職者へお詫びの文章を送付したという。また、小牧者訓練会を支援してきた韓国のサラン教会も支援を停止することを明らかにしている。
この問題を受け昨年12月には、「国際福音キリスト教会による被害を受けた女性達の救出と癒しを目的とする会」(FOE=Faith of Esther)が発足。「愛する人たち。自分で復讐してはいけません。神の怒りに任せなさい。それは、こう書いてあるからです。『復讐はわたしのすることである。わたしが報いをする、と主は言われる』」(ローマ12:19)の聖書の言葉のもと、個人攻撃や法的な裁き、教会の崩壊を求めることなく、「同じ被害に遭っている人々を一刻も早く救出し、ともに交わりを持つことをとおして回復のプロセスを踏むことを目的」として活動を行うとしている。
3日には国際福音キリスト教会の信徒有志らも声明を発表。「今、教会は瀕死の状態です。主流派の教職者と多くの信徒との間の信頼関係は損なわれ、教会は廃墟の様相を呈しています」と同教会の現状を憂え、「事態を放置してきたことを深く反省し、悔い改めるべきは悔い改め」るとする一方、信徒の立場として、▽卞氏が事実を認め謝罪すること、▽小牧者訓練会による釈明と連帯して道義的責任、損害賠償責任等を果たすこと、を要求。「主にある愛の交わりを回復したい」と訴えた。