カトリック作家の三浦朱門(みうら・しゅもん)さんが3日午前6時50分ごろ、肺炎のため死去した。91歳だった。喪主は、同じくカトリック作家で妻の曽野綾子(本名・三浦知寿子)さん。国内各紙が伝えた。
1926年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。50年に友人の阪田寛夫らと同人誌「新思潮」を発刊。53年、同誌の同人だった曽野さんと結婚した。吉行淳之介、安岡章太郎、遠藤周作らと共に、「第三の新人」の1人として注目を集める。
67年、『箱庭』で新潮社文学賞を受賞。83年に『武蔵野インディアン』で芸術選奨文部大臣賞を受賞している。そして、85〜86年には文化庁長官を務め、99年には文化功労者に選ばれた。
「朱門」の名前は、イタリア文学者だった父・三浦逸雄が、イエス・キリストの12使徒の1人であるシモン・ペトロから付けたという。59年に遠藤らと共にジョルジュ・ネラン神父(遠藤の小説『おバカさん』のモデル)から聖書を学び、63年、遠藤を代父にしてカトリックの洗礼を受ける。70年には、大阪万博でプロテスタントとカトリックが共同出展した「キリスト教館」をプロデュースしたことが認められ、阪田、遠藤と共にローマ教皇庁から聖シルベストロ教皇騎士団勲章を受章した。カトリック田園調布教会の教会員で、晩年も元気なころはミサに通っていたという。
カトリック関係の書籍を出版している聖パウロ女子修道会(女子パウロ会)は三浦さんの訃報を受け、公式サイトに「遠藤周作氏、妻の曽野綾子さん、加賀乙彦氏らと共に、カトリック作家として親しみを感じていました。永遠の安息をお祈り致します」とするコメントを掲載した。
曽野さんと加賀さんは産経新聞の取材に応じ、「こんな安らかな最期を迎えられたのは、日本の医療制度のおかげです」(曽野)、「私が遠藤周作さんから影響を受け、58歳でカトリックの教会で洗礼を受けたときに、駆け付けて喜んでくださったのが三浦朱門さん。同じ信仰を持つ者として親しみを感じていた」(加賀)と語っている。
曽野さんは昨年秋、週刊現代に三浦さんを在宅介護していることを明かす手記を掲載。三浦さんは2015年春ごろから、さまざまな機能障害が見られるようになり、同年秋には検査のために短期入院するなどしていたという。