業務用食品販売大手「業務スパー」を全国展開する「神戸物産」(兵庫県稲美町)の株をめぐり、インサイダー取り引きが行われていた疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反容疑で同社や関係者宅を強制調査していたことが分かった。産経新聞が9日、証券市場関係者への取材で明らかになったと伝えた。
同紙によると、神戸物産は2014年12月と15年7月、それぞれ上限60万株・30億円、上限100万株・100億円の自社株買いを発表していたが、同社関係者がこの発表前に情報を入手し、取り引き先関係者に伝えていた疑いがあるという。取り引き先関係者らはこの情報を基に神戸物産の株を大量に買い付け、発表後、高値で売り抜けることで、総額約50億円近い不正な利益を得ていた可能性があるという。
強制調査は昨年11月、神戸物産本社のほか、同社関係者、取り引き先関係者の自宅などを対象に行われ、現在、刑事告発を視野に押収した資料の分析が進められているという。神戸物産経営企画部門は同紙の取材に対し、証券取引等監視委員会の調査に全面的に協力していると話し、「当社関係者が重要情報を流出させたことはあり得ないと考えているが、外部の弁護士に依頼して調査している」としている。
ロイター通信は9日、この報道を受け、神戸物産の株が同日、売り気配で始まったと伝えている。
神戸物産のホームページによると、同社は1985年設立で、資本金は6400万円。C&C方式の業務用スーパーとしては日本で約70%のシェアを占めている。