【CJC=東京】教皇フランシスコは11月25日、初めてのアフリカ訪問に出発した。訪問先の東アフリカのケニアなどではイスラム過激派組織がキリスト教徒を狙った大規模なテロを繰り返している中でも、訪問の決意は固かった。教皇がテロの脅威や紛争が続く各国を訪れることに対しては、治安上のリスクを指摘する声も出ており、各地で厳重な警戒態勢が敷かれた。
教皇は最初の訪問国ケニアに向け、ローマを25日早朝出発、現地時間同日夕方、同国の首都ナイロビに到着した。その後、大統領官邸で歓迎式、ウフル・ケニヤッタ大統領との会談、次いで各界要人と会見した。
翌26日午前、教皇はナイロビ市内のバチカン大使館で諸宗教指導者と会見。続いて、ナイロビ大学構内でミサをささげた。午後は、カトリック系学校で教会関係者と出会い、国際連合ナイロビ事務局を訪問した。
27日午前には、ナイロビ・カンゲミ地区のスラム街を訪問。その後、カサラニ・スタジアムで若者たちとの集いを行った。
同日午後、ケニアを後にし、第2の訪問国ウガンダに移動した。ウガンダのエンテベに到着した教皇は、空港での歓迎式の後、エンテベ市の大統領官邸でヨウェリ・カグタ・ムセべニ大統領と会談、要人と出会った。夕方には首都カンパラ郊外のムニョニョでカテキスタや教員らと会見、その後カンパラ市内に入った。
28日午前、教皇はカンパラ近郊ナムゴンゴの聖公会とカトリックの殉教者聖地を訪問した。カトリックの殉教者聖地ではミサを司式。午後はカンパラのコロロ地区で若者たちと出会った。また、貧困者のためのケア・センターを訪問、教会関係者と交流した。
29日午前には、最後の訪問国、中央アフリカの首都バンギに到着した。
教皇はバンギの空港で歓迎式、続いて大統領官邸でカトリーヌ・サンバ・パンザ暫定政府大統領と会談、さらに政府要人・外交団と会見。午後からは、バンギ市内の難民キャンプを訪問。さらに、カトリック司教座大聖堂でのミサと、いつくしみの特別聖年の開幕に先立つ「聖年の門」の開門を行った。教皇はミサで、「武器の誤った使い方をする全ての者に呼び掛けたい。武器を捨て、愛と慈悲を身に付けてほしい」と訴えた。
教皇による紛争地訪問は異例。警備上の懸念があることから、バチカン(ローマ教皇庁)は訪問中止を検討したが、教皇の強い意向で実現した。教皇到着の際、空港では軍用ヘリが周囲を警戒、駐留しているフランス軍なども警護に当たった。