聖公会と非カルケドン派の東方(オリエンタル)諸教会は今月初旬、英国の北ウェールズで両教会の国際委員会(AOOIC)を開き、「キリスト論に関する合意声明」を公表した。アングリカン・コミュニオン・ニュース・サービス(ACNS)が9日に報じ、キリストの受肉をめぐって、カルケドン派である聖公会と非カルケドン派の教会の間にあった何世紀にもわたる分裂を癒やす、歴史的な合意に達したと伝えた。同委員会は、聖公会側が聖霊の発出について、「と御子」を意味するラテン語の「フィリオクェ」をニケア信経(ニカイア・コンスタンティノポリス信条)から取り除くよう奨励することを明示した。
日本聖公会の祈祷書にあるニケア信経には、「聖霊は命の与え主、父と子から出られ」と書かれている。東方教会が聖神(西方教会でいう聖霊)が父からのみ出ると考えていたのに対し、西方教会は、聖霊は父からだけでなく子からも出るとし、両者の見解が分かれていた。
「私たちは、『フィリオクェ条項』を信経への追加と見なしていた」と、英国にあるコプト教会のアンガエロス総主教は述べた。
聖公会一致・信仰および職制担当ディレクターのジョン・ギバウト参事司祭は、「『フィリオクェ』条項と呼ばれるこれらの言葉は、決して公会議によって加えられたことはなかった。それらはもともと、(神の)子(イエス・キリスト)の神性に関するこの信経の宣言を強めるために、西方で6世紀末に神学者たちによって取り入れられ、数世紀後になって、この信経に挿入するようカール大帝によって命じられて西方教会で広まり、中世の英国でも英国国教会とアングリカン・コミュ二オンの遺産となって受け継がれていった」と説明している。
ただ、ACNSによると、フィリオクェに関するこの議論は新しいものではないという。1976年には、フィリオクェを取り除くようにとする聖公会と正教会の対話の勧告は、1978年のランベス公会議で全聖公会のメンバーに対する決議第35号となっている。また、世界教会協議会(WCC)信仰職制委員会は、1987年の「一つの信仰を告白する」という文書の中で、西方教会はフィリオクェを取り除くよう求めていた。