ローマ教皇庁は、江戸時代に幕府の禁教令で国外追放となったキリシタン大名高山右近(1552〜1615)を、カトリック教会の「聖人」に次ぐ「福者」に認定する手続きを進めることを22日までに了承した。毎日新聞などが伝えた。
日本のカトリック教会では、右近を「福音を日本に根付かせたいとの大きな夢に生涯をかけた信仰の持ち主」として、1949年からその福者認定に取り組んできた。昨年9月には、聖人・福者認定のための調査を行う列聖省に、右近の福者認定のために約600ページにおよぶ申請書を提出。同10月には、右近の福者認定を祈願する巡礼団が列聖省長官のアンジェ・アマート枢機卿と面会し、今年の認定について前向きな返答をもらっていた。
毎日新聞によると、福者認定の申請をするにあたり、日本のカトリック教会側は当初、右近を「奇跡」を起こしたという証明が必要な「証聖者」として申請したが、「殉教者」に切り替えたという。今後は、枢機卿らによる会議で認定を決定し、教皇フランシスコの承認を経た上で、年内か来年初めにも正式に福者に認定される見通し。列福式は来年日本で行われる予定で、ローマ教皇も参列を希望しているという。
1552年に大阪で生まれた右近は、12歳の時に父・友照の影響で受洗。21歳で高槻(大阪府高槻市)の城主となり、その後明石(兵庫県明石市)を治め、戦国のキリシタン大名として織田信長、豊臣秀吉らに仕え、領内にキリスト教を広めた。1612年、徳川幕府はキリシタン禁教令を発布。14年に国外追放され、フィリピン・マニラに渡ったが、翌年病死した。今年はちょうど没後400年の記念の年。
カトリック教会では、「聖人」の位にあげられる前提として、徳のある行為、あるいは殉教によりその生涯が聖性に特徴付けられたものであったことを証しして、「福者」という敬称が与えられ、崇敬の対象となる。ノーベル平和賞受賞者のカトリック修道女マザー・テレサも2003年に列福されており、日本では08年にペトロ岐部(1587〜1639)ら188人が列福されている。