仏教者やキリスト者などからなる平和運動団体「宗教者九条の和」は13日、参議院議員会館(東京都千代田区)で「集団的自衛権の行使は戦争です 『集団的自衛権の行使に反対し、いのちと憲法9条を守ろう』宗教者共同アピール 第5次集約集会」を開催した。
参加した40人の参加者はこの日、特定秘密保護法の施行に反対する緊急アピールを採択。同日午前に安倍晋三首相に渡したという。緊急アピールでは、12月10日に施行されようとしている同法を「民主主義を破壊する希代の悪法」だとし、「各界からの問題点の指摘には耳をかさず、廃止の声が日増しに高まっているにもかかわらず」施行することは「暴走としか言いようが」ないと指摘している。
また、「私たち宗教者は、人権を守ることはいのちを守ることであり、思想及び良心・信教の自由を守ることだと訴え、国民の知る権利を奪い、集団的自衛権の行使を容易にする『特定秘密保護法』の廃止を求め行動してきました」とし、「この法律を制定・施行することで、日本が再び『戦争する国』になっていくことを深く憂いているからです」と説明している。
そして、「『特定秘密保護法』の施行を前に、さらに断固たる反対の意思を表明し、諦めずに、不屈の精神を持ち続けることを誓い、宗教者の緊急アピールと致します」と、同アピールを結んでいる。
「宗教者九条の和」事務局(東京都渋谷区)を務めている武田隆雄氏(日本山妙法寺僧侶)は、今回の集約集会で、昨年11月から賛同を呼び掛けている、集団的自衛権行使に反対する宗教者共同アピールの署名者数が7623人になったと報告。「1万人を目標に、皆さんのご努力で、周りの方々に広めていただきたい」と訴えた。
この集会で主催者あいさつを行った小橋孝一牧師(日本キリスト教協議会議長)は、「(衆議院)『解散』というとんでもない話が出てきているが、それを私たちは逆手に取っていく。忌憚(きたん)のない意見を」などと語った。
「激動する内外情勢と、改憲・ガイドライン改訂・戦争関連法制の正念場」と題して状勢報告を行った高田健氏(許すな!憲法改悪・市民連絡会)は、「次の衆議院選挙は安倍政権に対する審判を下す選挙だ。安倍政権がどんなに危険な政権なのかを多くの人に伝えていく必要がある。衆議院で(自民党に)3分の2以上取らせないことだ」と訴えた。
高田氏はその上で、安倍内閣は「戦争する国」を目指す解釈改憲とともに、「戦争する国」の総仕上げとしての明文改憲を推進していると指摘した。
その上で高田氏は、「安倍政権の憲法破壊に総がかりで立ち向かう必要がある」と述べ、「大事なのは不屈に(運動を)継続することだ」と強調した。
その後、この集会であいさつしたキリスト者平和ネット事務局代表の鈴木怜子氏は、「自分たちの国がどうなっていくのか?キリスト者は昔、妥協した。そのことをまたやっちゃいけない」と語った。
また、日本カトリック正義と平和協議会の大倉一美神父は、「宗教者も祈りと行動をもって、改憲を阻止するために一緒に頑張っていきたい」と述べた。
キリスト者平和ネット事務局副代表の村瀬俊夫牧師は、首相官邸に要望書を出し続け、この日がその23回目だという。「安倍政権の打倒のために一生懸命頑張っていきたい」と話した。
一方、仏教者で真宗大谷派僧侶の石川勇吉氏は、「(戦争で)子どもから『お国のために(自分の)命をささげる』と言われた親の悲しみを繰り返したくない」と語った。
参加者らは閉会後、国会議員会館前で路上祈念集会を行い、「命を守ろう」「信教の自由を守ろう」などと声を上げ、各宗派の祈りをささげた。これには、その隣で沖縄の辺野古米軍基地建設に抗議して座り込みを続けている、キリスト者を含む市民グループも参加した。
第6次集約集会は来年4月に国会内で開催される予定。宗教者九条の和について詳しくは、同団体のホームページを参照。