日本カトリック正義と平和協議会(松浦悟郎会長)は26日、安倍晋三首相が同日、靖国神社を参拝したことについて抗議する声明を発表した。
声明で同評議会は、靖国神社について「戦前、戦中と天皇制軍国主義の精神的支柱としての役割を果たして来ました」と言い、首相が靖国神社を参拝することは、日本が「60年前の戦争を美化し、肯定することを意味し、日中戦争、アジア・太平洋戦争で亡くなられた2千万人を越す人々と、今も心身ともに被害の苦しみから解放されない人々の心を踏みにじるものです」と非難した。
また、首相の参拝自体についても憲法20条に定められた「政教分離」の原則に違反する行為だとし、「国民に国家のために犠牲になることを強いる道を開く行為に他なりません」としている。
以下、声明全文。
私たち日本カトリック正義と平和協議会は、かつて我が国がアジア諸国に対して犯した侵略戦争を悔い、平和主義、国民主権、基本的人権の尊重の立場から、アジアに平和と平等の友愛の社会が確立することを願って活動してきました。しかし、安倍晋三首相は本日、2013年12月26日、私たちの思いを踏みにじるように靖国神社への参拝を強行しました。
私たちは、以下の理由により、安倍首相に厳しく抗議をします。
靖国神社は、戦前、戦中と天皇制軍国主義の精神的支柱としての役割を果たして来ました。ゆえに首相が靖国神社に参拝するということは、国家が60年前の戦争を美化し、肯定することを意味し、日中戦争、アジア・太平洋戦争で亡くなられた2千万人を越す人々と、今も心身ともに被害の苦しみから解放されない人々の心を踏みにじるものです。またそれは、憲法20条に定められた「政教分離」の原則に違反する行為であり、かつ、国民に国家のために犠牲になることを強いる道を開く行為に他なりません。
特に今回の安倍首相の靖国神社参拝は、戦後なかったほど緊張の高まるこんにちの東アジア情勢に、更に一層の緊張をもたらすものです。本来、国家間の緊張状態は外交努力によってのみ解決されるべきです。しかし安倍首相は、外交努力を放棄し、武力行使も辞さないと宣言するかのごとく、近隣諸国を威嚇しました。安倍首相は、東アジアのみならず全世界の人びとに日本に対する不信感を抱かせました。これまで和解と平和を願って努力してきた人々の思いを踏みにじり、今日まで私たちが築き上げてきたアジアの人々との友情と信頼を著しく傷つけました。
以上によって、私たちは今回の安倍晋三首相による靖国参拝を決して容認することはできません。
私たち日本カトリック正義と平和協議会は、本日2013年12月26日の安倍晋三首相の靖国神社参拝に厳しく抗議します。