【CJC=東京】エルサレムの「神殿の丘」に第三神殿を建設しよう、とイスラエル政府のウリ・アリエル住宅建設相が7月4日声を上げた。
「神殿の丘」には紀元前10世紀頃、ソロモン王により第一神殿が建てられたが、紀元前587年、バビロニアにより破壊された。紀元前515年に建設された第二神殿は、紀元70年にローマ帝国により再び破壊された。城壁の一部が残され「嘆きの壁」と呼ばれている。
現在、『神殿の丘』はイスラエル領だが、『アル=アクサー・モスク』や『岩のドーム』などイスラム教の聖地でもあり、管理はイスラム教指導者が行っている。ユダヤ人とキリスト者は神殿の丘で宗教的な儀式を行う事を禁止されている。2000年9月、右派リクードのシャロン党首が神殿の丘を訪問したが、これに反発したパレスチナ市民による暴動が起こり、直前に成立していたキャンプ・デービット合意が事実上、破綻した。
ユダヤ人にとって神殿再建は最大関心事の一つだが、イスラム教との関係緊張が必至なだけに、これまで政府高官も発言を控えてきた。
アリエル住宅建設相が極右政党「ユダヤの家」に所属しており、パレスチナ自治区への入植に熱心で自らも入植者であるだけに、そのアリエル氏が神殿再建を呼び掛けたことで、中東情勢を一挙に悪化することにもつながりかねない。
昨年には「ユダヤの家」のゼブルン・オレブ議員も神殿再建を呼び掛けたが、その際にも岩の洞窟とアルアグサ・モスクの撤去が世界戦争を引き起こすことは確実、と語っている。
「神殿の丘」関係団体がイスラエルのユダヤ人を対象に共同で行った調査では、神殿再建賛成が30%、反対45%、わからないが25%だった。