米連邦最高裁判所は26日、同性婚を合憲とし、州法で禁じることを違憲とする判決を下した。これにより、州によって判断が分かれていた同性婚が全米50州で認められることになる。
米国でこれまでに同性婚を認めているのは37州と首都ワシントン。連邦最高裁は今回、同性婚を禁じているオハイオ、ミシガン、ケンタッキー、テネシーの4州の州法の合憲性を審理し、判事9人のうち5人が合憲と判断した。
判決を受け、バラク・オバマ米大統領はツイッターで、「平等へ向けたわれわれの行進において、今日は大きな一歩だ。他の人々と同じように、ゲイとレズビアンのカップルは結婚する権利を持つことができた」と歓迎するコメントを投稿した。
一方、米最大のプロテスタント教派で保守的な南部バプテスト連盟(SBC)は、公式ニュースサイト「バプテスト・プレス」で、SBC指導者らのコメントを発表。「聖書的また伝統的結婚を心から信じている」と言うロニー・フロイド議長は、この判決により、宗教的自由が侵害され、聖書的・伝統的価値観によって差別を受けないかが最大の懸念事項だと言い、「イエス・キリストのメッセージを米国、また世界の全ての人々に伝えるため、非常な緊急性をもって、われわれはこれまでにないほどに立ち上がらなければなりません」と訴えた。
SBCは今月中旬に開かれた総会で、連邦最高裁の判決にかかわらず、「結婚についての教義的、公的な信条をゆるぎなく保持し続けること」を決議している(関連記事:米南バプ連、連邦最高裁の判決にかかわらず「神による結婚の定義」堅持で決議)。
また、プロテスタント福音派の大衆伝道者で、同性婚に反対していたフランクリン・グラハム氏は、フェイスブックに投稿したコメントで、「神は結婚の定義について明確です」と言い、創世記2章24節「男は父母を離れて女と結ばれ、二人は一体となる」を引用。「そう願えるだけの理由をほとんど挙げられませんが、国としてのわれわれの行動によって、神がその裁きを米国に下さないようお祈りします」とコメントした。
米国では、同性婚は長い間国を二分する議論となっており、キリスト教界内でも対応が分かれていた。米最大の長老派教団であるアメリカ合衆国長老教会(PC(USA))は昨年6月、結婚の定義を「一人の男性と一人の女性」から「2人、伝統的には一人の男性と一人の女性」に修正することを総会で可決。今年3月、この決定に賛成する同教団内の中会が半数を超えたことで、正式に定義の変更が決まっていた(関連記事:米最大の長老派教会、結婚の定義変更を正式決定 同性婚を容認)。